2010年4月25日日曜日

ドイツで鍛える生活 #18

****  ゲルマンの躁 ****

ドイツの春は東京の冬くらいである。
しかし、気温は日本の冬でも。
春となると新緑が生い茂り。
芝生も木も青々とする。
木々も春だと思っているのであろう。
この気温は冬だっつううのっ!

そして人間はというと。
ながーく、キツーイ冬が終わり。
気温がプラスになった上に、
毎日太陽が出ているということで。
全国民、躁状態。

春だーっ!といきなり。
たかが15℃で、Tシャツ短パン。
たかが15℃で全員、海に繰り出し。
(リューベックはビーチがある)
ビキニを着てしまうゲルマン民族。
さらに。それも脱ぎ捨てトップレス。

私は。君たちのその浮かれっぷりがもの哀しい…。
太陽でそれだけ浮かれることができるということは。
太陽がそれだけ君たちから遠くにあるということなのだ。

しかし。そこで、それだけ上がるから。
上がった分、冬は暗く沈むのだ。
押さえろ!ゲルマン民族よ。
春は始まった。
が。春も夏も時と共に終わるのだ。
始まったということは終わるのだ。

通念として。
西洋は個性を重んじ、日本は没個性である。
というのがあるが。
実は。ウェスタンピープルも。
意外と単一思想で、単一行動だったりするのである。
つまり。
ビーチに行きたくない人なんておらず。
晴れたらビーチ。
晴れたらお外でまどろまないといけない雰囲気なのである。
そこに余暇の過ごし方の多様性はない。

で。15℃でビーチに行かなきゃ!
という強迫観念がない私は何をしているかというと。
街の浮かれっぷりがなんとも気分悪い、プラス。
出不精な事もあって。
会社は行くが完全に引きこもり生活。
金曜日の夜から月曜日の朝までは誰とも話さないという、
しょうもない生活を送っている。
(つまり、会社でしか人と話さないわけ)
ま。お前もトップレスにでもなってこーい。
というかんじだが。
あー。それはかなりの苦行…。

インドの古い瞑想法にヴィパッサナー瞑想というのがあるという。
その合宿では10日間、誰とも話してはならないらしい。
えっ。実は。私がやっているのは。
毎週、ヴィパッサナー合宿かー!?
やっぱり、ここはお寺にちがいない。

15℃でトップレス。
もの哀しすぎる…。

2010年4月19日月曜日

ドイツで鍛える生活 #17

****  人は虫の知らせを活用できるか ****

こちら(ドイツ)の卵は。
サルモネラ菌がいるから。
ちゃんと火を通さないといけない。
と聞いてはいた。
しかーし。完全に無視。

うどんには温泉卵でしょ。と。
温泉卵を作って食ったら。
12時間後、何かおかしい…。
24時間後、いよいよ本当におかしい。
これは話に聞いていたサルモネラ菌ではないか!
やられた…。食中毒。

そして。30時間後の夜中。
いよいよ本当に死にそうになり、
ちょっと救急車か〜!?
と頭をよぎったが。
救急車の電話番号って。
えっ。何番だっけ?
というわけで格闘の末、
自力で復活したのだが…。

そういえば。
虫の知らせはあったのだ。
卵を鍋に入れるとき。
何の変哲もない卵だが。
なにか。ン?!ムムっ!と思った。

過去にもタイで。
あ。この店は絶対ヤバイ!と思ったことがあった。
しかし、断るのは失礼な状況だった。
結果。やはり食中毒。

つまり。人間は。
ムムッ。とか。ン!?とかいう。
虫の知らせは受け取れるのだ。
しかし。問題は。
その根拠のない『ムムっ!?』だけで予定を変更できないのだ。
何かムムっ。と思って。
半熟たまごのせうどんをたまごなしに変えられるかと言うと。
やっぱり変えられないのだ。

しかーし。
究極の虫の知らせだったらどうするか。
例えば、出張でヒコーキに乗る朝。
鏡に映る自分を見て。ン!?となり。
で。鏡がパリンッと割れたとき。
君には。
ヒコーキに乗らない。という選択肢があるか。
仕事だったりすると一人だけの問題じゃないし。
いやー。キャンセルする勇気はない…。

というわけで。
せっかくの虫の知らせも。
有効活用は難しいのです。

あー。鏡が割れても。
あー。ヒコーキ乗るのか…。
もー。究極…。



2010年4月13日火曜日

ドイツで鍛える生活 #16

**** 日本の芝生は青かった ****

実は。夏服や物を取りに行く次いでに。
休暇を取り、1週間ほど日本に帰った。
おー。シャバだ!
シャバですよー。

成田へ着いたとたん。
携帯でメール送りまくりーの、返信しまくりーの。
成田エクスプレスに乗っている1時間半、
ずっとメールしていた。
そう。これなんですよ。
あー。なんか戻ってきた!
たぶん。自分が本来いるべき場所へ。
待ってくれる人たちがいるこの世ヘ。
マイ・ホームタウン。
そう。これが本来のあるべき姿なのだ。

というのも。
ここ。リューベックに来てから。
家探し&引越し手続きで携帯が必須だった時もあったが。
それ以降。
私の携帯使用量は、毎月50セント程度(60円)。
いかにこのゲルマン社会に入れていないかがよくわかる。

で。久々のシャバ、日本では。
毎日、昼から夜中まで。
人を変え、場所を変え。
一日中しゃべりまくった。
いやー。シャバはやはり楽しい!

というのも。
「日本は暑いの?」とか。
「東京はどれくらいの人口なの?」とか。
そんな会話はもういいのです!
もう年を取ったら深い話しかしたくないわけです。
しかし。外国にいる以上。
そういう会話はついてまわる。

ドイツで就職し、暮らすということは。
一見、バージョンアップされた世界で暮らすようにも見えるが。
実は。
ものすごーく低レベルな世界で生きているとも言える。
だって。
『スシ以外、なに食べるの?』とか。
そんな質問。日本にいたら小学生でも聞きませんわ。
外国で暮らすということは。
会話レベルをそこまで落とし、
日々トンチンカンな質問に答えることでもある。
ま。それがこちらの学びにもなるわけではあるが…。

そんなわけで。1週間のシャバ生活。
隣の芝生の方が青く見えるのが人間の性という例にもれず。
日本の芝生はとても青く見えたのだが。
ここ、リューベックの芝生も青く見えるようになった時。
私はこの土地を離れ、
日本に帰還することになるのだと思う。
人生とはおそらくそんなものであろう。

その時まで。
『深い会話』というエンターテイメントは。
お預けか。
はたまた。
それをここでも可能にするのがここでの人生ドリルか。

修行は続く…。


2010年4月1日木曜日

ドイツで鍛える生活 #15

**** あの世の狭き入り口と関門 ****

ふと。ここは旭川なんだ。
と思うことがある(旭川行ったことないが…)。
つまり。
東京からドイツ、リューベックに単身赴任するということは。
街の規模や寒さを考慮すると。
東京から北海道に単身赴任するのと同等なわけです。
そう。私は旭川に引っ越してきたのだ。

しかーし。
外国というだけで。
外人の友達もすぐできて楽しそう〜っ!
というのが世の想像力であったりする。
(注:ここでの『想像』の外国は欧米を意味する)

で。この想像力の根源は。
明治維新から。
欧米に追いつき追い越せと。
日本人の心に深く刻まれた欧米至上主義DNAが。
なんとなくそう思わせているのであるが…。

しかーし。
よーく考えてみてほしい。
学生でもなく大人になってから。
その土地に単身で行くということは。
もう既に。
そこでの生活の基盤がある人々の中へ。
そこでの生活が確立されている人々の中へ。
一人で入っていくことなのだ。
学生が皆、同時にスタートを切るのと同じではない。
皆、家族も友達も既にいてその輪の中で生きている。
当然、入り込む隙間なぞない。
で、そこへ入り込むには。
ちょこっと刺した穴が時と共に腐敗し大きな穴になるように。
じわりじわりと自分のスペースを広げ入り込むしかないのだ。
それにはながーい年月がかかるわけです。

とうわけで。日本の皆さん。
外国だから。外人だから。
すぐ友達になれるとかはないのですねぇ。

ま。その前に。
言語障害(ドイツ語)もなんとかせんと。
その隙間も広がらないのであるが…。

そう。これも誤解があるようだが。
ドイツは英語も通じるんでしょー。
という根強いイメージもあるが…。
いや。
ドイツはドイツ語です。
英語では暮らせません!
英語では電話、インターネット、電気も申し込めません。

しかーし。
もうオバハンなわけで。
ゲップをするという単語を覚えるのに2日もかかった…。
(↑覚える優先順位がまちがっている気もするが)
あー。えらいこっちゃ。
週末、お友達から電話がかかってくるような生活まで。
数年はかかるといったところか…。
やれやれ。

でも。
みうらじゅんも 。 
独りの時はとことん独りであれ!
と。説いていたではないか。
そのほうがオモロイ人間になると。
そうだ。じゃあ。
その間、おうちでギターの腕でも上げようっと。