2011年5月28日土曜日

迷走記 - 前書き -


さて。
『ドイツで鍛える生活』も終わり、東京。
さて。仕事でも探さないとなあ。
といったところなわけであるが。
人生完全に白紙。

というのも。
私は過去5年半、画像処理ソフトウェアのテスト。
という仕事をやってきたのであるが、
なんか。もー。人生。
もっと興味持てる事やりたいかも…。
というわけで。
それから足を洗おうとしているのである。

つまり。37歳未経験で職探し。
好きな事なんて仕事にならない。
趣味と仕事はちがう。
美輪明宏は給料は我慢料であると説いた。
そんなこたーわかっておる。
でも〜。

みうらじゅんは。
自分なんてなくせと説いた。
自分さがしの旅でなく。
自分なくしの旅が正しいと。
それもたぶんわかっておる。
でも〜。

自分なんてなくせない。
そんな我欲満載の。
悟りからはほど遠い者がつぶやく。
『なーんか、先に繋がる好きなことしたいんだよねー』という、
『フーン』としか答えようのない状態。
私はそんな所に陥ってしまったようだ。

迷える子羊の旅。
と言えば聞こえはよいが
いかんせん考えてみればいい年のオバハンなわけで。
そんな仕事、あるわけないだろっ!という。
突っ込み所満載のバカコメディーになる予感。

神のみぞ知る私の行く末。
いや。神だって知らない私の行く末。
明日、仕事が決まるかもしれないし。
数年後は頭が狂ったまま
『好きなこと〜』と言って、
精神病院を徘徊しているかもしれない。

私は一体どこへ行く。
そんな私の迷走記。

仕事は辞めたいけど、
いろいろ足かせがあってやめられない。
仕事は辞めたいけど、
いきなり無職はダメでしょ。と。
自分を戒め続けて早数年、ン十年の皆さんも。
これは他人の人生。
一傍観者として、お楽しみあれ。

脱力感あふれる『迷走記』
スタート〜。

2011年5月19日木曜日

ドイツで鍛える生活 #60

**** さようならドイチランド ****

さて。いよいよ。
ドイツ撤退の日。
行方不明になっていた、
ドイツの口座から日本の口座へ移動した全財産は。
(参照: ドイツで鍛える生活 #59)
ちゃんと日本の口座に反映されていた。
ふう。送金に4日間ですかあ…。
何でも時間かかるなあ。ほんと。
(まあ。タイミングなども悪かったのかも)

さて。例の暖房代問題。
参照: ドイツで鍛える生活 #58 )
光熱費の検針が1年に一度なので。
次の暖房代の精算が7ヶ月後。
というわけで、
銀行口座を開きっぱなしにして、
引き落とされる予想額を
残しておかなければならないというやつ。
ウーム…。

ドイツでは、暖房代は家賃に上乗せされているのだが。
それは単なる前年度を元に計算された予想額にすぎない。
まあ。言ってみれば。
日本でいう税金の年度末調整、
みたいなシステムと同じである。

同僚のルーマニア人は。
夫婦ですんごい暖房使ったから。
超過料金は400ユーロだった。と言った。
別の人はあんまり使わなかったから100ユーロ返ってきた。と。
家の管理会社の人に予想される額を聞いてみたが。
返事がなかった…。

ふむ。やっぱりねえ。
そう簡単にこっちの人は仕事してくれないよねえ。
と思っていたが。
ふと。退職した会社のメールボックスを見てみた。
あれ?! まだ会社のメールが見れる。

あーーっ!返事来ている。
もうこっちにメールするな。って言ったのにーっ!
もー。ドイツって、
物事がほんと伝わらないのよねー。
初歩的、事務的処理ができないというか、
なんというか…。なんで?

で。そのメールを開けてみると…。
   
                          * * * * * * * * * 
あなたは沢山、暖房を使ったようです。
私の計算によると。
敷金を差し引いても超過料金445ユーロです。
よって、敷金は返せません。
445ユーロを今、払ってくれれば、
それで精算を終えてもよいです。
                         * * * * * * ** * * *

ハ!?  超過が、敷金プラス445ユーロ?
敷金いくらだったけ?
忘れたが敷金、400ユーロくらいだったっけか?
えーーっ。となると。
暖房代の超過料金が10万円?え。1年で?
そして、添付されている計算書を見る
(写真、計算書の一部、クリックで拡大されます↓)















なんかわけがわからん…。
というか。
もう数時間後にはドイツを撤退するので見ていられん。
しかーし。日本に行ってしまったら。
もうオンラインバンキングもできない(注)
慌てて、指定された額をオンラインで支払う。
ウーム…。
(注: ドイツの私の銀行では、オンラインバンキング時に使用する暗証番号はその都度、携帯にSMSで送られてくる。つまり、暗唱番号が毎回異なる。よって、ドイツの携帯を持っていて、SMSが送られる圏内のヨーロッパにいないとオンラインで振込みなどできないシステム)

ハイ。次。
まだいろいろな書類が来るであろうから、
ポストにメモを貼る。
『マユゲ宛のものもxxさんのところに入れてください』





と、書いたつもりだったのだが…。
最後に動詞を書くの忘れた…。
まあ。意味はわかるだろう。
撤退準備完了。

そして。
鍵を次の住人に全て渡し、
ドアを閉めた。
さようなら、私の家。
空港行きの長距離バスに乗った。
さようなら、リューベック。
飛行機がとんだ。
さようなら、ドイチランド。

ウーム。
もっと住んだら、きっと。
もっといいところが沢山、見えたのだろう。
10年ドイツに住んだ人は。
この『ドイツで鍛える生活』を読んで。
違うっ。って思うこともあるだろう。
私の見聞記は、
ただの偏見記だったかもしれない。

     * * * * *
子供のころから。
バカの一つ覚えとして。
憧れ続けた、外国。
憧れ続けた、欧米。
憧れ続けた、外国で自立する生活。

日本じゃない国で。
そこの土地の人々と同じように働き。
同じように給料をもらって。
その土地の平均的な生活をしてみたかった。

日本人のいないところで。
サラリーマンになった。
憧れは。たぶん、現実になった。

ただ。
隣の芝生は青く見えたけれど、
自分の芝生だって本当は青かった。
ということだ。

経験とは。おそらく。
自分の今までの価値観を崩すためにある。
『思ったのとちがった』
というのは、一歩、進んだ。
ということだ。
そういうことだ(←強引にもっていきます)

   ****そして。撤退2ヶ月後 ****

多摩川の川べりを歩くと。
毎日歩いた、リューベックの川のあぜ道が。
フラッシュバックする。
本当に遠くまで来てしまった。と。
思いながらトボトボ歩いたあのあぜ道。

あの光景はつい最近の日常だったのだが。
長い夢だったような不思議な感覚。
いつも多摩川を歩く度、
あの世界に引き戻されるが。
多摩川。という引き金がなければ、
本当に記憶から埋葬されてしまいそうな
そんな、あやふやな記憶の中だけの世界。
あの世界は一体、何だったのだろう?

あ。そういえば…。と思って。
ドイツの口座の出入りをオンラインで見る。

あれ〜っ!?
いまだに引き落とされていいる〜。
毎月35ユーロ(4000円)、インターネット代。
手違いだー。
なぜにこんなにも事務処理ができないのか〜っ!
ドイツ〜っ!もー。いやだー。

ン!? 実は…。
あの暖房代も向こうの間違いではないか?
撤退のどさくさに紛れ、敷金が当てられたりして。
わけがわからなくなったが。
一体、全部でいくら払ったのか。

ムムっ。
超過料金、1200ユーロ(14万円)ではないか?
これはあり得ん!
毎月、暖房代を含めた光熱費を払っているし。
暖房に14万円の超過とかあり得んでしょーがーっ!

やられた。
やられたー。

あー。ドイツで鍛える生活。
修行は全然足りてなかった…。

ま。そんな事を東京の青空の下で嘆いても。
仕方がない。
次へ進もう。次へ。
過去に戻るのは簡単だ。
前へ。前へ。

いや。前を見すぎてもいけない。
今。だけを。
過去も未来も今についてくる。


おわり







2011年5月3日火曜日

ドイツで鍛える生活 #59

**** ドイツ撤退への道 #3 ****

さて。
私の引越しは30kgのダンボール2箱程度。
引越し業者は使えないけれど。
えっこら郵便局まで運ぶのは無理という…。
超中途半端な引越しなのである。

日本だったら宅配業者なり、
郵便局なり(EMS)に電話すれば。
ダンボール1個でも取りに来てくれる。

しかーし。ここはドイツ。
生活の基本は。
『なんでも自分たちでやる』ことである。
集配サービスなぞない。

彼らにとって。
サービスなんつう物体のないものに。
金を出すなんて意味不明なのだ。
周りの人々と協力すれば済むことなのである。
言い換えれば、助け合いの社会。
ドイツ人は堅実(またはケチ)と有名だが。
皆の『一銭たりとも余計な金は払わん!』
という覚悟はすごいんだから。ホント。

このサービス業のない社会は。
すごい不便なのであるが。
あの財布の紐の堅さを見ている限り。
国民が自らそう望んでいるのではないかと思う。
よって。
この国のサービス業が発達することはきっと…ない。
もし。それが受け入れられた時は。
おそらく『助け合い』の社会も崩壊したときだろう。

ま。そんなわけで。
集荷のサービスがないなら。
自分たちでやればいいのであるが…。
便利な社会からこの社会へ飛び込んだ私は。
その自分たちの『たち』の部分が欠けているのである。
会社のボスなんかにも頼めるが…。
エレベータないし、5階だし、30kgだし。
ボス。腰抜けちゃったりして〜。とか。
運んでもらって『じゃあね』じゃ、失礼だし〜。
そのあとにカフェでも行っておごるか。とか。
でも。あの人と会話。弾まないんだよなー。とか。
『助け合い』『頼み合い』の社会に慣れていないもんで。
グチャグチャ考えているうちに面倒くさくなり。

えいっ。悪いクセだが金で解決。
高いけど。日系の運送会社に頼む。
さすが。日系。
一箱から取りに来てくれる。
当然、日本人のいないリューベックに支店はないので、
どっかのドイツの運送会社に委託される。

日系といえども。
もうリューベックに来る時は、
日系の「に」の字もないドイツの会社である。
ドイツの会社では伝言が伝わってなかったり、
重要な書類が回ってなかったりすることがよくある。
つまり。事務処理があまりできない。
果たして約束通り来てくれるのか…。

ところで。
ドイツの集合住宅では。
一階にメインエントランスがあり。
そのドアの外側に、
アパート全員の呼び鈴と名札がある。
郵便や配送などはここに名札がないと。
住所は合っていても持って帰られてしまう。

* * * * 荷物ピックアップ当日 * * * *
こんな重要な時に。
表札をいたずらで剥がされていたらいかん。と思い。
(ドイツ。わりと自転車泥棒とかイタズラとかが多い)
確認しに1階へ下りると。
えーっ。表札が次に住む人の名前になっているーっ!
ハウスマイスター(家の管理人)が気をきかして。
もう次の人の名前を貼っていたのだ。
もー。ドイツ人。
いつも仕事ちゃんとしてくれないのに。
なぜ、余計なところだけ、早いのだ。

慌てて、自分の名前もセロテープで貼る。
しかし。
通りがかりの若者にいたずらされたら悲しい…。
(↑まだ言ってる。ビョーキ)
1階のメインエントランスがガラスドアなので。
内側からもテキトーなドイツ語でメモを貼る。
『メモ: マユゲに用の方はxxxさんのベルを鳴らしてください』

よし。これで剥がされたとしても、
集配の人が帰ってしまうということがない。
完璧。ふう。あぶなかったー。

メモ:  マユゲ(に用の方)は yyyさんのベルを鳴らして下さい




















そして。金曜日。午後4時。
4時までにとりに来るはずなのだが来ない…。
やばい。週末になってしまう。
週末、ドイツ社会は止まる。
もーっ。今日、来なかったら、
私、月曜日の飛行機乗れないよー。
と思ってたら。
午後4時20分。来たー!ばんざーい!

やったー!
荷物。ちゃんと取りに来てくれたー!バンザーイ!
指定した日に取りに来てくれただけで。
もー。大感激!
ま。日本じゃ当たり前の事なんだけど…。

が…。あれ?!
控えの伝票もらわなかった…。
あのおっちゃん、なにも確認しなかった。
日本だったら。
ドライバーが伝票を確認し、サインして。
控えを渡し、伝票を荷物に貼って。
『では。確かにお預かりしました』となるわけだが…。

あのドライバー。
『あ。荷物これね。じゃあねー』だけだった…。
私。サインもしていない。
で。伝票をピラピラさせたまま。
荷物にさえ貼らなかった。
あれじゃあ。荷物と伝票がはぐれてしまうーっ!
荷物紛失の可能性大である。
で。『控え』を貰い損ねたので伝票番号さえわからない。
紛失してもトラッキングできないし、
伝票がないのでは、20万円かけた保険もおじゃんである。

『…… 』
もう自分のバカさ加減に腹が立った。
この『鍛える生活』を通して。
ここでは世の中は。
自然に回るものでなく、
自分で押して回すもの。
何度も確認して押す姿勢が大事であると。
あんだけ思い知ったはずなのに…。

『やったー。荷物とりに来てくれたー』と。
その感激だけで。
全てがすっとんでしまった…。

           * * * * * * *
ハイ。次。気を取り直して。
口座の金の移動チェック。

3日前。銀行にて、全財産を。
日本の自分の口座に移動したのであるが…。
えーっ。ない。
送金先の日本の口座にもないし。
送金元のドイツの口座にもない。

どこにいっちゃったのー。
私の全財産。

しかし。もうドイツを飛び立つ日がきました。
いろんな問題を残しつつ。
次回は。さようならドイチランド。