2011年12月4日日曜日

ドイツ人とのTOKYO観光 - 前編 -

ベルリンに住む友人から連絡があった。
近所の店の店員さんが。
休暇で東京に来るという。
初ニッポン。初トーキョー。
『誰か知らない?一日案内してくれるだけでいいんだけど』
というわけで。
私に白羽の矢が立った。

ウー。また来たか…。
実は。過去、2回ほど。
外国人を連れて東京観光したことがあるのだが。
どちらも成功していない。

どこどこに行きたい!
というものがあって。
そこに向かって連れて行くのは簡単だが。
問題は、それがないのである。

つまり。
その日のエンターテイメントが、
全て自分にかかってしまうのである。
しかも。
ちょっとした知り合い程度だったりするので、
趣味趣向がわからない。

前回、オーストラリア人を案内したときは。
都内をあちこち連れ回したが、
全く、興味を示さず…終了。
東京を去る当日に。
多摩川の土手へ散策に連れていったら。
なんと。
河原を歩いたり、石を拾ったり大はしゃぎ。
一番喜んだ…。

ああ。この人。
自然が好きだったのか…。ガクッ。
という結末で大失敗に終わった。

その教訓を生かし。
今回は事前に準備をしようと。
メールで趣味趣向を聞いてみた。
すると。

* フリーマーケットが好き
* 歴史的な建造物や街に興味はない
* テレビで見たクレージーな仮装をして座っている人をみたい
(原宿、代々木公園前と思われる)
* 港に行きたい
* ツーリストじゃ行けないような所に行きたい。

ということであった。
えっ。港!? 東京湾ですかー?

事前情報これだけ。はあ…。
もー。じゃあ。そんな面倒な事。
断ればいいじゃないか。
と思うかもしれませんが。
なぜ引き受けてしまうかと言うと…。

私も世界各地で同じように面倒を見てもらった。
自分だって好意を受けたのだから。
今度は自分がやらねばっ!という気負いと。
今度は与える側にまわらねばっ! という気持ちと。
(↑『与える』と思っている時点でおこがましい…。)
なんといっても、前回。
オーストラリア人の観光が大失敗に終わった、
あの負い目もある。
今回こそは楽しんでもらいたいという欲。

つまり。
一見、見も知らぬ人を案内し喜ばせようと。
人が良いように見えるが。
実は。その人を使い、
過去の数々の負い目を払拭したいという、
単なるエゴイズムなのである。

人の為は自分の為とはよく言うが、
ほんと。
それがわかりやすく出たかたちである。
あー。我ながら。
ひでーな。全く…。

ともかく。
どんな人であろうと。
絶対。一日、エンターテインさせよう!
『東京は楽しかった』と思わせてやるっ!
と。心に誓った。

                   * * * * * * *
最終メールが来た。
「じゃあ、朝9時にホテルで!」

えっ!? 朝9時からってことは…。
昼すぎに『じゃあね、バイバイ』って言うのも失礼だから、
せめて日が暮れるまでとなると…ざっと10時間。
えーーっ。
10時間のエンターテイメントメニュー。
しかも。見知らぬ人に対して…。
も〜。無理っ!

というわけで。
友人も誘い、途中から合流してもらうことに。
彼女の『朝9時から一日は長すぎでしょーっ!それは断るべし 』
との助言を受け。
結局。東京観光は昼からに変更した。

    * * * * 確固たる計画がないまま当日 * * * *

青山一丁目の宿の前。
いる…。誰かいる。

ホテルの前に白人のモサ〜イかんじの男。
というか、おっさん。
というか、身だしなみがテキトーすぎて、
ジジイに近い。
この人。ドイツ人ぽい。間違いない。

と。ここで異変がっ…。
なんと私のテンションが下がったのである。

脳ミソの反応が。
なんだよー! ジジイかよー!
というわけだ。

いや。誤解のないように言っておくが。
私は外人とお近づきになりたいとか微塵も思っていない。
過去数年間、外国にいたので。
欧米人が全員プラピのようでないことも知っているし。
ギャグがお互い通じないことも知っているし。
通じないネタも沢山ある。
自分の語学も、堪能ではない。
そして。私も年を取ったので、
心のどこかで。もー。外人は面倒くさい。と。
思ってしまっている。

それなのにーっ。
見た目でテンションが下がるとはーっ!バカ者がーっ!
今日は絶対、コイツを楽しませきゃいけないのにーっ!
も〜っ。

ま。とりあえず。握手して挨拶。
ガンバレー。私のテンション!

「どう?フリーマッケット行ってみた?」
「まだ行っていない」
「よしっ!明治公園のフリーマーケットに行こう!」

とりあえず。
この先1時間半くらいの予定は埋まった。
ふう。よかったー。
しかし。
フリーマーケットまでは歩くと20分。
電車だと一駅乗れるが…
一駅だけでも電車に乗るか?と聞くと乗ると言う。

ウーム…。でも。彼はベルリンに住んでいる人。
ベルリンでは皆、金を使わないで遊ぶ。
自称アーティストが世界中からやって来て、
たむろっている街。
皆。金を遣わない生活が身についている。
そして。ドイツ人は財布の紐が固い。
なーんかいやな予感がして、確認してみた。

「あ。でも東京では切符は一回しか使えないよ。
乗る度にお金払わないといけないよ(注1)
(注1 ベルリンではゾーン制なので、同じエリア内であれば乗り換えしても駅出ても同じ切符が使える)
「一回しか使えないの?」
「そう」
「じゃあ。歩く」

そーだよねー。
ここが東京観光で気を遣うところなのだ。
メトロや私鉄やJRと。移動には結構、金がかかるよ。
ということを分かってもらわないといけない。

「でも。あとで。君に電車の乗り方教えてもらわないとなー。
昨日、渋谷に行ったんだけど。歩いていったんだ」
「えっ。3駅分あるよ。帰りも?」
「そう。帰りも。もう足が死んじゃうくらい疲れた」

それくらいガイドブックに載ってるでしょーがーっ。
この人。まったく何も調べずに東京に来ている…。
調べる気もない…。
というか、一人で電車に乗ってみようともしていない。

やばい。この人…。丸投げコースだ。
ガイドブックも見ていない…。
行きたいところも『わからない』と言う…。

さーて。
一日エンターテイメントメニューを。
考えねばならなくなりましたー。
しかも。即興で。今、組み立てねばならぬ。
(↑結局、事前に用意していない…)

条件: 電車はあまり乗れない。
切符は一回しか使えないから…。

さあ。ドイツ人との。
東京観光が始まりましたー!
ガンバレー。私のテンション!

意外な質疑応答やら、
びっくりな行動やら。
次回はその一部始終を。

(次、ドイツ人とのTOKYO 観光 - 中編