2011年12月4日日曜日

ドイツ人とのTOKYO観光 - 前編 -

ベルリンに住む友人から連絡があった。
近所の店の店員さんが。
休暇で東京に来るという。
初ニッポン。初トーキョー。
『誰か知らない?一日案内してくれるだけでいいんだけど』
というわけで。
私に白羽の矢が立った。

ウー。また来たか…。
実は。過去、2回ほど。
外国人を連れて東京観光したことがあるのだが。
どちらも成功していない。

どこどこに行きたい!
というものがあって。
そこに向かって連れて行くのは簡単だが。
問題は、それがないのである。

つまり。
その日のエンターテイメントが、
全て自分にかかってしまうのである。
しかも。
ちょっとした知り合い程度だったりするので、
趣味趣向がわからない。

前回、オーストラリア人を案内したときは。
都内をあちこち連れ回したが、
全く、興味を示さず…終了。
東京を去る当日に。
多摩川の土手へ散策に連れていったら。
なんと。
河原を歩いたり、石を拾ったり大はしゃぎ。
一番喜んだ…。

ああ。この人。
自然が好きだったのか…。ガクッ。
という結末で大失敗に終わった。

その教訓を生かし。
今回は事前に準備をしようと。
メールで趣味趣向を聞いてみた。
すると。

* フリーマーケットが好き
* 歴史的な建造物や街に興味はない
* テレビで見たクレージーな仮装をして座っている人をみたい
(原宿、代々木公園前と思われる)
* 港に行きたい
* ツーリストじゃ行けないような所に行きたい。

ということであった。
えっ。港!? 東京湾ですかー?

事前情報これだけ。はあ…。
もー。じゃあ。そんな面倒な事。
断ればいいじゃないか。
と思うかもしれませんが。
なぜ引き受けてしまうかと言うと…。

私も世界各地で同じように面倒を見てもらった。
自分だって好意を受けたのだから。
今度は自分がやらねばっ!という気負いと。
今度は与える側にまわらねばっ! という気持ちと。
(↑『与える』と思っている時点でおこがましい…。)
なんといっても、前回。
オーストラリア人の観光が大失敗に終わった、
あの負い目もある。
今回こそは楽しんでもらいたいという欲。

つまり。
一見、見も知らぬ人を案内し喜ばせようと。
人が良いように見えるが。
実は。その人を使い、
過去の数々の負い目を払拭したいという、
単なるエゴイズムなのである。

人の為は自分の為とはよく言うが、
ほんと。
それがわかりやすく出たかたちである。
あー。我ながら。
ひでーな。全く…。

ともかく。
どんな人であろうと。
絶対。一日、エンターテインさせよう!
『東京は楽しかった』と思わせてやるっ!
と。心に誓った。

                   * * * * * * *
最終メールが来た。
「じゃあ、朝9時にホテルで!」

えっ!? 朝9時からってことは…。
昼すぎに『じゃあね、バイバイ』って言うのも失礼だから、
せめて日が暮れるまでとなると…ざっと10時間。
えーーっ。
10時間のエンターテイメントメニュー。
しかも。見知らぬ人に対して…。
も〜。無理っ!

というわけで。
友人も誘い、途中から合流してもらうことに。
彼女の『朝9時から一日は長すぎでしょーっ!それは断るべし 』
との助言を受け。
結局。東京観光は昼からに変更した。

    * * * * 確固たる計画がないまま当日 * * * *

青山一丁目の宿の前。
いる…。誰かいる。

ホテルの前に白人のモサ〜イかんじの男。
というか、おっさん。
というか、身だしなみがテキトーすぎて、
ジジイに近い。
この人。ドイツ人ぽい。間違いない。

と。ここで異変がっ…。
なんと私のテンションが下がったのである。

脳ミソの反応が。
なんだよー! ジジイかよー!
というわけだ。

いや。誤解のないように言っておくが。
私は外人とお近づきになりたいとか微塵も思っていない。
過去数年間、外国にいたので。
欧米人が全員プラピのようでないことも知っているし。
ギャグがお互い通じないことも知っているし。
通じないネタも沢山ある。
自分の語学も、堪能ではない。
そして。私も年を取ったので、
心のどこかで。もー。外人は面倒くさい。と。
思ってしまっている。

それなのにーっ。
見た目でテンションが下がるとはーっ!バカ者がーっ!
今日は絶対、コイツを楽しませきゃいけないのにーっ!
も〜っ。

ま。とりあえず。握手して挨拶。
ガンバレー。私のテンション!

「どう?フリーマッケット行ってみた?」
「まだ行っていない」
「よしっ!明治公園のフリーマーケットに行こう!」

とりあえず。
この先1時間半くらいの予定は埋まった。
ふう。よかったー。
しかし。
フリーマーケットまでは歩くと20分。
電車だと一駅乗れるが…
一駅だけでも電車に乗るか?と聞くと乗ると言う。

ウーム…。でも。彼はベルリンに住んでいる人。
ベルリンでは皆、金を使わないで遊ぶ。
自称アーティストが世界中からやって来て、
たむろっている街。
皆。金を遣わない生活が身についている。
そして。ドイツ人は財布の紐が固い。
なーんかいやな予感がして、確認してみた。

「あ。でも東京では切符は一回しか使えないよ。
乗る度にお金払わないといけないよ(注1)」
(注1 ベルリンではゾーン制なので、同じエリア内であれば乗り換えしても駅出ても同じ切符が使える)
「一回しか使えないの?」
「そう」
「じゃあ。歩く」

そーだよねー。
ここが東京観光で気を遣うところなのだ。
メトロや私鉄やJRと。移動には結構、金がかかるよ。
ということを分かってもらわないといけない。

「でも。あとで。君に電車の乗り方教えてもらわないとなー。
昨日、渋谷に行ったんだけど。歩いていったんだ」
「えっ。3駅分あるよ。帰りも?」
「そう。帰りも。もう足が死んじゃうくらい疲れた」

それくらいガイドブックに載ってるでしょーがーっ。
この人。まったく何も調べずに東京に来ている…。
調べる気もない…。
というか、一人で電車に乗ってみようともしていない。

やばい。この人…。丸投げコースだ。
ガイドブックも見ていない…。
行きたいところも『わからない』と言う…。

さーて。
一日エンターテイメントメニューを。
考えねばならなくなりましたー。
しかも。即興で。今、組み立てねばならぬ。
(↑結局、事前に用意していない…)

条件: 電車はあまり乗れない。
切符は一回しか使えないから…。

さあ。ドイツ人との。
東京観光が始まりましたー!
ガンバレー。私のテンション!

意外な質疑応答やら、
びっくりな行動やら。
次回はその一部始終を。

(次、ドイツ人とのTOKYO 観光 - 中編)

2011年8月7日日曜日

迷走記 #6 (完)

**** 船に乗った〜! ****

人生。大海原に落っこち、
溺れる寸前だったものの。
なんとか。
通りがかりのゴムボートに飛び乗った。

そう。やっとのことで。
短期のデジカメテストのお仕事を掴んだのが前回。
(参照: 迷走記 #5: ゴムボートに乗ったー!)

今回のお仕事は。
前回。3日でそそくさと退散した
スーパーの立ちんぼの仕事より、
(参照: 迷走記 #4 )
100倍楽で時給は倍近い。
世の中って。やっぱり。
基本、理不尽で。
テキトーなものなのかもしれない。

しかしこれ。
1週間の期間限定のお仕事なので。
また。次のボートなり、
船に飛び乗らなくてはならない。

で。日課のごとく。
派遣の仕事をチェックするのであるが…。
見ていると。
社員よりハードルが低いとはいえ、
派遣というのも、
なかなか要求が高かったりする。

* * * * 仕事内容 * * * *
製品の仕様検討、仕様作成(ミーティング参加)
海外出張あり。
CADを仕様して設計。
試作品の作成、量産立ち上げ、
部品メーカーへの部品調達。
部品検査、生産ライン構築、
生産ライン従事者への指導。
* * * * * * * * * * * * * *

はあ…。
当然、応募条件としては、
これらの経験が○年以上ある人。
となっているわけであるが…。
えーっ。これ。派遣ですか〜?
といった調子。
じゃあ。社員は何処にいるの〜?

まあ。確かに。
社員というのは、色々と権利などもあり。
簡単には辞めさせることができないので(注1)。
会社とって、社員を取るということは。
ギャンブルである。
(*注1: 大手になればなるほど組合などがあり、この傾向は顕著になる)

そういえば。
10年以上前に働いた某大企業では。
『島流し部署』なるものも存在し。
問題ある人はそこに流し、遊ばせる。
という会社もあった。

ま。そんなこんなで。
日本は。派遣大国なわけであるが。
派遣の応募条件を見ても。
条件に当てはまるものが自分に何もなく。
ウーム…。と。
途方にくれていた。

しかーし。
ツキというものは不思議なもんで。
来ない時は来ないのであるが。
来る時は来るのである。

ひたすら落ちまくっていたのに。
派遣会社から数件、
仕事の話が舞い込んで来るようになった。

おお。やっぱり。
あのゴムボートに飛び乗った時。
何かが近くまで来ているという勘は。
間違いではなかったのだ。
(参照: 迷走記 #5 ゴムボートに乗ったー!)

ああ。もしや。ここは…。
来たぞー!キターッ!

そう。たくさんの船が往来する海域に。
やってきたのだー。
嵐は去ったのだー。
やったー!やったー!

そして。遂に。
一つの船に飛び乗った。
乗ったー!
アハハー。乗ったぞ〜!

しかし。その船。実は。
2年前に。
私が突き落とされた船であった…。

なんと。そこは。
2年前にリーマンショックの影響で。
私がクビになったところ。

なんと。
同じ上司。同じ仕事。同じ同僚のもと。
2年前と同じデスクに座ることとなった。
そして。再び。
ドイツの皆とやり取りすることになるのだ。

コンピュータの向こう側には。
『さようなら』したはずのドイチランド。
『さようなら』したはずのリューベック。
そして。
あのドイツの皆がいるのだ。

ウ〜ム。
一体。誰がこの結末を想像できただろうか?


* * * * 勤務初日 * * * *

2年という月日…。
『失業ブルース #1 - 9』
『ドイツへ引越し #1 - 7』
『ドイツで鍛える生活 #1- 60』

もー。盛り沢山すぎて10年分くらいに感じる…。
海をまたいだりして、
引越しも4回した。

会社のIDカードをもらい。
首にかけた。
デスクに座った。
この席。おなじみである…。
右を見ても、左を見てもおなじみの顔。
後ろを見ても同じ人。
2年前となに一つ変わらぬ日常がここにある…。

はあ…。
私のこの2年は一体。なんだったのか〜!
神様のきまぐれ修行プレイか!?

ともかく。
なんだかよくわからんが。
暗黒時代が終わった。
架空出勤よ。さようなら (参照: 迷走記 #5)。
リアル出勤よ。ありがとう。

明けない夜はない。
止まない雨もない。

そして。
永遠に続く晴天もない…。

ガーン…。
ま。行けるところまでこの船でいきますか。


p.s. さーて。仕事が見つかったので。次は家探しだー! 
ガンバルぞー!オーッ!


2011年7月26日火曜日

迷走記 #5

* * * * ゴムボートに乗った〜! * * * *

諸悪の根源は夢や希望だー!
そんなもんが人を不幸にする。
じゃあ。
夢や希望は捨てようじゃないか。

と。やけっぱちで応募し、
働くことになってしまった
巨大スーパーの入り口での立ちんぼの仕事。
(参照: 迷走記 #4 )
アメリカ人ボスに。日本語で。
『アナタ、笑顔、足りない!
アナタの顔、オソウシキデス〜!』と。
言われ続けるもと。
5秒に一回『いらっしゃいませ』を叫ぶ × 8時間
 × ン年の人生は辛すぎる。
と。そそくさと退散し、
またプーになったわけだが…ここで問題が。

私は今。実家に居候している。
21歳の時には。もう。
さっさと家を出たので、
16年ぶりの同居である。

しかーし。
21歳で自立したはずの娘が。
いい年こいて家にいて、
プラス、無職ときた。
親としては。イライラっとしていたが。
やっと働きに出てくれた。よかったー。
と思った矢先であった。
というわけで…。
バイトとはいえ、
3日で辞めたとは言えなくなってしまった…。

そう。世のリストラされたお父さんが。
背広を着て、勇ましく。
『いってきまーす!』と家を出て。
公園に向かうように。
私も同じ状況に陥ってしまった…。
なんと。架空出勤である。
まさか。
自分にこんなことが起こるとは…。

まあ。バイトでシフト。
ということになっているので。
普段着で、気が向いた時に。
9時間くらい家を空ければよいわけで。
背広を着たお父さんよりかは恵まれているが…。
(どういうレベルの話だっ)

それを聞きつけた友達なんかは。
有給取るから!つきあうよ!
とか言ってくれたりして。
ほんと。持つべきものは友達かもしれない。

で。連日。34℃の猛暑。
外にいられないので、
カフェとかに行ったりするわけだが。
やはり。都会でブラブラするには。
毎日。それなりに金を遣う。

暑い。死ぬーっ!→カフェへ
腹減ったなあ→ランチ
ふらっとビックカメラ→分割でmacを買ったり
店をウロウロ→ 本とか服を購入したり。
暑い。死ぬー!→区民プールへ行ったり
(プール道具をバイクに積んでいる)
疲れた〜→再びカフェへ。とか。

毎回。架空出勤がこんな調子である。
来月こそはこんな生活じゃないはず。と。
買い物は、いつも。来月を当てにし。
すべてカードで2回払い。
しかし。
どんどん減っていく銀行残高を見る度。
これはいよいよ。まずいなー。
というかんじなのだが…問題は。
なんだか。
生活レベルが落とせないのだ。

そういや。
小室哲哉が詐欺で逮捕された時。
生活レベルを落とせなかった…。
と。言ってたっけ。
規模は違いすぎるけれど。
なんだかわかるような気がした。

とりあえず。カフェにいる時は、
mac を持ち込み、職探し。
毎日、3時間くらいは職チェック。
で。まあ。私の職種と、
年齢と経験値のバランスなどの事情により。
どうしても派遣になってしまうのであるが。
週に5, 6件のハイペースで応募し。
で。その間に。
派遣会社数社に登録に行ったりしていた。

そんなところへ。ニュース。
                * * * * *
牛丼店で強盗。容疑者は。
妻には。夜中、働いていると嘘をつき、
奪った金は『はい。給料』といって、
妻に渡していた。と供述している。
               * * * * *

泣ける話である。
が…。ちょっとこれ。
人ごとじゃないかもーっ!

日が経つにつれ。
最初はなんとかなっていた架空出勤も。
数週間経つ頃には。朝が来る度。
「朝が来てしまった…。さて。今日はどうすっかなあ…」と。
もう。さすがに限界に。
どうにかせねば〜。と思うものの。
仕事は。掴みそうになる度。
あと一歩でスルリと手から抜けていった。

明けない夜はない。
止まない雨もない。

物事には。どんな事柄でも。
終わりは必ず。あるっ!
ゴールはどこかにある…。

一日中、外をフラついて。
金もあちこちにバラ撒き。
死ぬほど汗をかいて家にもどると。
居間のテレビがついていた。

                * * * * *
こちら、東京にある○○植物園です。
このような珍しい植物もあるんですねー。
こちら、入場は無料となっておりまーす!
                * * * * *

「ここどこ?」と私。
「小平市だって」と。マユゲ母。
「フーン」と。私。
(ウーム。ここ。明日の出勤場所にいいかも…。植物好きだし〜)

まさか。
同じテレビを見ている娘が横で。
『おー。ここは明日の架空出勤場所にっ!』
なーんて。こっそり思っているとは。
マユゲ母は、夢にも思ってなかろう。
かわいそうにねえ。
数ヶ月前は。
『娘はドイツで働いているんですぅ〜』
って周りに言ってただろうけど。
ホントは、今。君の娘は無職なんです…。

ま。知らぬが仏とはこのことか。

                * * * * * *
居間を出ようとしたその時。
マユゲ母が言った。
『ちょっとーっ。アンタ、家にお金。
働いているんだから。○万円入れてよね」

「ああ。あとで渡すよ」と言って、
2階の自分の部屋へ向かった。

お金ねぇ…。
階段をのぼりながら
牛丼屋へ強盗に走ってしまった人の事を。
ちょっとだけ想った。

自分の部屋へ入ると携帯が鳴った。
「あ。○○会社です。本日は登録ありがとうございました」
(おっ。派遣会社だ)
「早速ですが、来週から1週間の短期のお仕事がありまして。
お願いできないかとー。デジカメのテストのお仕事なんですけど…」

キター!
仕事がキターッ!
これは毎日、街をふらつき、お茶して。
セールでお買い物して、macまで買い。
無職なのに、一生懸命、
日本経済をまわしたご褒美だー!
昨日。ブ○っクス・ブ○ザーズで面接用のシャツを買ったからな。
あれがよかったのかな。
もう一枚買えば、もう1週間仕事あるのかしら〜?
それとも。もっと高いもの買えば。
一ヶ月の仕事が来るのか〜?

大海原に落っこち。
(自分で入っちゃったんだけど…)
行き着く先もなく。方向も見失い。
溺れそうだったが。
通りかかったゴムボートになんとか。
手がひっかかった。
助かった〜。

そして。なんとなく。
大きい船がどこか近くまで。
来ている気配があった。
なにかが近い…。

ま。ともかく。
仕事や金に困った時は。
金を遣えということだ(ホントか?)。
世の中は循環。循環。
世の中は。
まわせ。まわせ。

では。とりあえず。
ゴムボートに乗り。
とあるメーカーのデジカメテストをして参ります。

2011年7月14日木曜日

迷走記 #4

**** やけっぱち、実践す ****

さて。
やけっぱち期が到来し(参照: 迷走記 #3)。

だいたい。
自分の可能性とか。
信じるからいけないのだ。
私は。自分には何もないと思い、
私は。そんな自分で満足したい!
人間。多くを望まなければ。
幸せなのだー。

というわけで…。
とある単純&肉体労働系に応募した。
面接官に。
「ハッ !? ソフトウェア開発という業界からなぜにうちへ?」
という不信感を大いに持たれつつも、
ま。とりあえず、人足りないから。
アルバイトスタートで…。
みたいなかんじで。
あっさりと受かった仕事。

それは。
とある外資の巨大スーパー。
レジ係、商品の陳列係、お掃除係、
お肉をずっと切っている人。
お魚をずっと切っている人。など。
まあ。色々な仕事があるわけだが。
店の入り口担当になってしまった。
『いらっしゃいませ』系…。

ウーン。笑顔を振りまく接客か。
かなり向いていないと思われるので。
裏でお肉を切ったり、
手を動かかしている方がまだよいのだが。
なーんか。いやな予感…。

遡ること、16歳の夏。
ファミレスのウエイトレスとして働いた。
『デ○ーズへようこそ!』という、
決まり文句があったのだが。
そんな恥ずかしいこと事言えるかよー。と思って。
言わないまま働き通した15の夜。
じゃなかった。16の夏。
そんな人が20年後にまたマニュアル接客。
果たして、できるのか?!

初日はオリエンテーション。
バイトとはいえ、
20枚くらい、契約書に色々サイン。外国っぽい。
それから。
ドラマ仕立てな教育ビデオを数本、
4時間くらい見るのであるが…。
これが。アメリカ企業だけあって、
ドラマがやっぱり海外ドラマ風。
なんかこう、映像のの雰囲気が。
『ビバリーヒルズ高校白書』とか『フレンズ』
の中に出てくる、そのものなのだ。
いやはや。アメリカ。

そして。
従業員の控え室に行くと。
白人、黒人、ヒスパニック、アジア系にインド系と。
肌の色も、まあ様々。
従業員、超多国籍。
で。皆、日本語ペラペラ。
かつての日本にこんな光景があっただろうか?
ま。国際的になるのはいいことだ。
民族は単一だと。
不健康な社会になりやすいのだ。
多国籍。歓迎!

仕事着は襟付き指定があるので、
ポロシャツを用意することに。
それなりに値は張るが、
気に入ったものを買った。
フフ。来月給料入るしね。と。
カードでガツっと購入。
テキトーな服で一日中働いたら。
なんか。
哀しい気分になるんじゃないかと思い。
気張ってみた。

* * * * そして。勤務開始 * * * *

さて。仕事であるが。
何をするかというと。
入り口でひたすら。
『いらっしゃいませー!○○を拝見しまーす』(注1)と叫ぶ。
(注1:とあるものがないと入店できない)
もしくは。
『クーポンをどうぞー!』とクーポンを配る。

それをひたすら、
5秒に一回叫ぶこと5時間。
それだけ…。
すみませーん。
これ。機械じゃダメなんですかー?

叫ぶのでのどがカラカラになるのだが。
客の前で水を飲むのは禁止されている。
よって。
水を飲めるのは指定された休憩時間のみ。
休憩は5時間勤務の時は一回だけ。15分。
それが水を飲める唯一のチャンスである。

入り口なので野外みたいなもの。
夏。5秒から10秒に一回叫ぶ。× 5時間。
水飲みてー。
もー。拷問…。

すると。
現場監督のアメリカ人のおっさんが。
ツカツカーって、歩み寄ってくる。
(日本語ペラペラ)

アナタ、笑顔が足りない!
声が出てない!
顔が暗いデスー!

アナタ、お葬式ですよー。オソウシキーッ!
スマイルー、声!!
そして。
アメリカ人ボスは去っていった。

ボスの方を見ると。
ボスは『キーッ!』と。こちらを見ている。
ああ…。

いっそう声を張り上げる私。
声が低いのもあって、
声は雑踏に消えてしまう…。
そして。凡人には。
『叫ぶ』と『笑顔』は共存しない。

すると。またそのアメリカ人ボスが。
大股歩きで、ツカツカーって。
お尻をプリプリ振りながら私のところに来る。

「ココノポジション。一番タイセツなのナンデスカー!」
1に笑顔! 2にスマイル! 声!
アナタソレナイ!

『…… 』
果たして。アメリカ人に、
『1に笑顔!2にウンチャラ〜…』
って日本語で怒られた日本人が
この日本にどれだけいるだろうか?

はあ…。
私はアメリカをナメていた。
だって。
この間まで住んでたドイツでは。
スーパーの店員なんか。
座ったままレジやっているし。
『いらっしゃいませ』もない。
客の前でクイクイッと。
ペットボトルのジュースだって飲む。
ブスーっとして業務をこなし。
列をなしている次の客は。
『ハイ、次ーっ!』とコワーイ感じで呼ばれる。
客と口論だってする。

昔。ベルリンで。
50ユーロ札で数ユーロの買い物をしようとした客に対して。
「おつりなんかないわよーっ!」
ってレジの人が怒って、
客と喧嘩になっているのを見たことがある。

しかし。サービス業の国。
アメリカは違うらしい。
そういや。オーストラリアのスーパーでも。
店員はいつだってスマイルであった。

ま。ともかく。
この入り口のポジションは担当が何人かいて、
日本人じゃない人も数名いるわけだが。
長い人だと4年もそのポジションをずっとやっている。
しかも、フルタイム社員。
入り口担当で4年。
皆。色々な事情があるのだろうが。
叫び続けること、
5秒から10秒に1回 ×8時間 ×4年は。
忍耐という面で、本当に頭が下がる。

しかーし。ごめーん…。
私にはその忍耐はない。
それを飲み込む、諸事情もない。

今。これを選んだら。
これをやる人生になる。
でも。これを選ばない人生もあるはずだ。
私は…。ごめーん。ヘタレです。
抜け出したい!

* * * * 翌日 、再び勤務 * * * *
日曜日。客足がすごい。
相変わらず、私は。
アメリカ人上司にウケは悪く。
「ココのポジションは店の顔でデス!
暗い!スマイルー!声ー!ソレはオソウシキーッ!」と。
言われ続け、
魔の『5秒に一回叫ぶ × 5時間』は終わった。

シフトを見た。
まだ。来週のシフトを組まれてなかった。
今だ!シフトを組まれたら辞められない!

3日間、お世話になった人、
数人に頭を下げまくった。
辞めた…。

結局。私には。
『自分にはなにもない』と思う能力も。
『多くを望まず満足する』という能力もなかった。
青春ノイローゼは治せなかった。
(参照: 迷走記 #3)

しかーし。
これがきっかけで。
私の尻に火が付いたのだ。
前職と同じ職業にもどったるーっ!

さて。次回。
私の快進撃はスタートするのでしょうか?

そして。
やけっぱち期の代償として。
お値段の張るボロシャツのカード請求が。
来月。来るのでしたー。はあ…。

p.s. こうやって。
また、履歴書に載らない履歴が増えるわけです。
(参照: 履歴書に載らない履歴 )

2011年7月8日金曜日

迷走記 #3

**** やけっぱち期到来 ****

前回のお店ブームで(参照: 迷走記 #2)。
頭おかしい真っ盛りに、
色々な所に送りつけた履歴書が。
ポロン、ポロン。と。
毎週のように戻ってきた。

これ。返ってくると。
なんだか。
ものすごーく。恥ずかしい。
あちゃーっ。
そういえば。
こんな所、送ったよねー。
と思ったり。
あー。まあ。そりゃそうだよな。
とか思ったり。
もう毎日が、アチャチャチャ〜っ。
というかんじ。
で。さすがに、考えた。

だいたい、いい年こいて。
やりたい事とか、好きな事とか。夢とか。
アホじゃなかろうか。
ムムっ。
これは、青春ノイローゼ(注1)だ。
そうだ。諸悪の根源は。
夢とか希望とか、理想じゃなかろうか?
(注1)みうらじゅんが提唱したビョーキの名。否定的な意味で、
いい年こいてまだ『青春』を卒業できていない大人のこと。

もっと違う可能性とか。
今までと違う人生とか。
自分にはもっと出来る何かがある。
と思っているビョーキ。

しかしそれは。
私たちが、20代のころ。
実は。誰もが持っていた、
『青春』という、ある種のノイローゼ。

が。それは年と共に薄れ。
30代ともなれば。
ノイローゼを実現できた人は。
いわゆる『成功者』であるが。
ノイローゼを実現できなかった人は。
等身大の自分を受け入れることになる。
で、ここで受け入れることができた人も。
ある種の成功である。
しかし。私は。おそらく。
この辺りの移行を失敗している。

そうだ!
諸悪の根源は。これだ!
自分に何かがあると思っていること。
夢とか希望とか理想が。
人を不幸にしているのでは?

                           * * * * *
テレビをつけると。
『あなたに夢はありますか?』
というテーマをやっていた。
コメンテーターは中村うさぎ。
彼女は言った。

「だいたいねえ、
夢とか言ってるんじゃねーよ。
夢なんて捨てちまえ!
人にはねえ。
追いかけてよい夢と、
追いかけちゃいけない夢があるんだよ!」

ハハーッ!
うさぎさま〜。すみませんっ!

                          * * * * *

自分には出来る何かがある。という幻想。
自分にはもっと可能性がある。という理想。
自分にはやりたい事がある。という妄想。

よしっ!私はそれを捨てる。
私にはなにもない!

とある外資の体力&単純労働系に応募した。
そして。
面接した当日。合格の連絡。
ちょっと不安になって、
○○社、仕事。とかネットで調べてみてみると…。

あんなところで働く奴らは、クズだ。
どこにも行くところないから、
あそこで働いてんだろ。とか…。

ヒョ〜っ。もう。すんごい言われよう…。
しかし。クズ。
これぞ私が望んでいるものではなかろうか?
わたしは自分をクズと思い。
クズで満足したい!

私は貝になりたい!
いやちがった。
クズになりたい!
(↑こう言ってる時点でクズと思っていないわけで…おこがましい。)

そして。勤務日は来た。
やっぱり、人間。
クズになるのも。
無欲になるのも大変で。
煩悩には。
なかなか難しかったのである…。

次回はそのびっくり勤務を。

2011年6月28日火曜日

迷走記 #2

**** お店ブーム ****

さて。前回から。
だいぶ間が空いてしまったが。
仕事なんて好きな事しようぜーと。
悪魔にささやかれ、
迷走がスタートしたのが前回。

はて。好きな事。
好きな事っていってもねえ。
何をするか…。

大体。何をしようか。
とか言っている時点で。
大して『好きな事なんてない』
ということなので。
そういう人は本来。
前職と同じものを選び
『キャリアの継続』という、
世の鉄則に従えばよい。
ま。これは。
考えればごもっともな話で、理にかなっている。

しかーし。
人間。ちょっとした事でネジが1本緩むと。
ガタガタガタッ!って崩れ。
そういう当たり前の考えさえも。
スコンッ!と。抜けてしまう。

で。私も。ひょんな事から。
ネジが外れてしまった。

そうだ。どうせ働くなら。
好きなものに囲まれて働こう!
というわけで、
第一次迷走期。
お店ブーム到来…。

販売業。やったことないのに。
こだわり物のセレクトショップなんかで。
店員になろうかと思ってしまった…。
で。目ぼしい店に行っては。
ウーン。店員が皆20代かあ…。
年齢オーバーで落ちるから辞めよう。
とかいった偵察を。
3週間くらいやっていた(アホか!)。

次。職人ブーム。
やっぱり。
なんか物を作る人になりたい。
漆職人とか?靴職人とかパン職人とか?
37歳で弟子入りはあり得んでしょー。
って思ってはいるが。
なんせネジが外れている。
『○○、職人』とか検索すると。
村上龍の『13歳のハローワーク』が現れた。 
ここで一瞬、我に返ったが、
またネジがボトっと落ちた…。

ま。手近に偵察できるところから。
というわけで。
パン職人が選ばれたのであるが。
あちこちのパン屋を偵察しては。
製造スタッフ募集を探すこと。
再び。1ヶ月くらい。

こじんまりしたパン屋に。
未経験も可というのを発見。
店にある応募用紙を貰ったらなんと。
『うちの店は完全菜食主義です。
スタッフにもそれを求めます。
応募前には以下の本を最低2冊、
読んでから来てください』と但し書き。
『小宇宙と人体と云々〜』
みたいなノリの本がズラリ。
ヒョ〜っ。なんだかねぇ…。

まあ。そのへんの趣向には目をつぶって。
突入の機会を伺っていたら。
なんと店長急死。
店存続の危機なので当然スタッフ募集も終わる。
(店は後に閉店した)
そして。私も。
あれ?一体なにやってたんだろ?
と。我に返ったのだけれど…。
ホリエモンの収監決定!との記事を見て。
そっかー。
同世代のホリエモンも修行時代に入るのねえ。
私も収監されるつもりでパン屋で修行するか。と。
わけのわからん発想に…。

しかーし。
『パン。別に仕事じゃなくて
自分で作ればいいじゃん。家で作りなよ』
という友達の一言で。
まあ。そっか。と。
パン屋ブーム、あっけなく終焉する。

次。編集ブーム。
気になる雑誌の編集者採用情報を見ては。
未経験可を探す。

次。花屋、園芸店ブーム。
また気になる店に行っては。
偵察に行、き張り紙を見るという生活。
このブーム。
また1ヶ月くらい。

そのあとまた。
家具屋ブームとか、
カフェブームとかもあった。

編集ブームと園芸店ブームとカフェブームでは。
はた迷惑なことに。
数件応募してしまった。
ま。当然。落ちたのだが…。
送りつけた担当者の皆様。
すいませんでしたー!

いやー。今思うと。
なんでこんな事していたのだろう。
と。思うことばかり。
人間って狂っている時は。
本当に自覚がないです。

今。この瞬間も。
後々。考えてみると。
はずかしーっ!
っていう事をしているのだろう。
そう思うと。
あー。ホント。気が狂います…。

若いころや過去を思い出すと。
いつだって、全てが小恥ずかしいのも。
まあ。同じような事で。
一種の狂いなのか…。

このあと。
さらに迷走します。

次回。やけっぱち期。到来す。


2011年6月2日木曜日

迷走記 #1

**** 迷走スタート ****

やっぱ。
履歴書は写真でしょー。
この人に会いたいか、会いたくないか。
文字より写真。
やっぱり人間。
なんやかんや言って。
きっかけを掴むには見た目が左右する。

手鏡に向かってニコっ。
目が笑っとらんっ!
ニカーっと笑って、顔筋をほぐす。
そして。再び。ニコッ。
ま。こんな感じか。
三脚を立て、レフ板を自分で持ち、
セルフタイマーをセット。

昔。某男性ファッション誌の。
カメラマンアシスタントを1年ほどしていたので、
写真の撮り方はある程度知っている。
ってまあ。
顔の作りは変えられんので。
写真にも限界はあるのだが…。

ともかく。この一枚が。
面接まで行けるかどうかの鍵になるー!
という妄想にかられているわけだ。

タイマーが点滅する。
チカ。チカチカチカー。
来るぞ〜。カシャッ。
ンー。履歴書にしては笑い過ぎ。
もう一回。
ニコッ。カシャッ。と。
すること、なんとまる1日。
ま。こんなもんだろう。
というものが出来た。

              *  *  *  *  * 

そう。無職になったのだ。
ま。節目の度に一旦、無職になるので。
とびきり特別な事ではないし。
まあ。なんといいますか。
一時の無職はそれなりに貴重である。

つまり。
会社勤めを一旦始めた者にとって。
1ヶ月以上の休みどころか、
10日以上の連続した休みだって。
会社を辞めないかぎり、
60歳になるまでお預けなのである。
考えてみればなんともおそろしい話だ。

遡ること数ヶ月前。
ドイツの現地企業で働いていた。
しかし。
人っ子ひとり知らないドイツの田舎街で。
ずっと生きて行く覚悟もなく。
やっぱり。日本に住みたいなー。
そうだ。日本で職を得よう!と思った。

ドイツを撤退すべく、
日本に向けて就職活動。
現職と遠からず的なものと。
まあ。英語を使うという事以外、
現職とは全く関係ないものをネットで3件応募。
まあ。多少なりとも経験を生かして。
っていうやつである。

結果は全滅…。

ま。平社員ごときで。
いくら飛行機代を自分で払うつもりでも。
ドイツにいる人に面接に来て下さいとは言いにくいよな。
そうだよな。
距離があるからな。距離が…。
いや。キョリ。というか自分に問題があるのでは?
とも頭をよぎったが。
まあ、8割方くらいはキョリのせいにした。
というわけで、
ドイツの会社を辞めて日本に戻った。
そんで。無職になった。

そしたら大地震が来た。
人が生きるか死ぬか。
明日は電車は普通に動くのか動かんのか。
という時に。
『御社の求人を見たんですけど〜』
なんていう発言をすると。
マヌケに聞こえるので。
とりあえず、日常が戻った時のために。
履歴書の準備を始めたというわけだ。

生きるか。死ぬか。
水が危ない!買い占めろ〜!
余震だ。放射能だ。
エイッ。ヘリから一号炉に海水投下!
炉よ。冷えてくれー。
と。皆が祈っている時。
そう。私は。1人、部屋で手鏡片手に。
セルフタイマーを押しては。
ニコ〜っと笑ってカシャ。
と、やっていたのだ。
さすがに我ながら、この非常時に。
このマヌケすぎる光景は如何かと思ったが…。
ま。でも。世の中は。
いつだって両極の世界が存在する。
そういうものだ。

写真が撮り終わって翌日。
さーて。画像修正。
まー。便利な世の中だこと。
ちょっと絵画チックなモノクロ写真が出来上がった。

ま。履歴書の写真って、
好き嫌い、デザインが云々。
っていう話ではないけれど。
やっぱり。
自分が納得できないと人に渡せない。

この写真。
常識的には邪道かもしれないけど。
でも。世の中はいつだって。
正解は一つ以上ある。
そういうもんだ。

ま。そんなふうに。
一生懸命写真を作り込んでいるのも。
実は狙ってる会社があった。
社風が欧米並みに自由。
ゲームやソーシャルアプリなんかを作るIT系の会社。
職種は前職と全く関係がないわけでもないかんじで。
多少ながらアピールできる事もありそうな、ないような…。

履歴書は指定のエントリーシートを使う。
当社の製品で一番よいと思うものとか、
その理由を述べよ。とか。改善点を述べよとか。
まー。なんせ質問事項が沢山ある。
その質問に試行錯誤して書き上げること5日。
1週間がかりでエントリーシートが出来た。

『一番よいと思う製品』もなんとか書いたが…

                        * * * * * *

「なーんかさあ。製品。全然興味ないんだよねー」
「じゃあ。応募しなければいいじゃん。
だいたいマユゲはいつもそうなんだよー」
行きたくないっていいながら行くの。
ドイツだってそうだったじゃん」

そういえば。そうだったかも…。
「でも。服装が自由なの〜」
「服装が自由なところ他もあるよー」
「ない。日本。あんまない…」
という会話をあちらこちらですること1週間。

結局。1週間かけて書いた履歴書は。
出さなかった。
そう。ここから私の迷走は始まった。

生活のために金を稼ぐという目的以上に、
好き嫌いを持ち出した。
そして。
なんだか、幼稚な方向へと舵が大きく切られた。
そう。『家族を養う』という立場にない私には。
責任というブレーキ部品も欠如している。

そんなところへ。
好きなことしようぜー。ベイビー。と。
悪魔がささやき始めたのであった…。