2011年1月24日月曜日

ドイツで鍛える生活 #50

**** 日本食クッキング会 ****

1ヶ月ほど前。
日本食好きなドイツ人同僚が。
今度。うちでうどん作ってよー。と言った。
30代半ばくらいの彼の奥さんも横で。
いいわねー。と言っていた。

このことがずーっと気になっていた。
やるならばそれなりの準備をしたい。
しかし。問題は。
本当にやりたいと思って言ったのか。
ということである。

つまり。本音と建前である。
本音と建前は日本だけのように思われがちだけれど。
外国にだってある。
建前というか、
その場の雰囲気やノリで、社交で言ったりするのだ。

たとえば。
欧米のパーティーなんかでは。
誰かを見つけると。
まず。最初に超ハイテンションで。
「Heeeeey !」 と言ってハグするわけです。
それから。ちょっと話したあと。
 「いやー。君にあえて良かったよー。じゃっ!
連絡するからーーーっ」と。
ハイテンションで去るが。
実は。連絡する気はなかったりする。
単なる。挨拶なわけです。
オーストラリアにいたときは。
誰もが皆、にこやかで感じはいいけれど。
まあ。社交だろうな。
って思うことも多々あった。

さて。ゲルマンはどうかというと。
おめーらっ。
思った事、すべてを言うのが親切じゃないんだよーっ。
と思うくらい本音を言ったりするが。
(参照: ドイツで鍛える生活 #46
やっぱり。人にもよる…。

で。今回は。
海外出張も多く、
アメリカ的社交にも慣れている人なので、
余計にわからなかったのだが。
結局。本気だったらしく。
急に。実行することとなった。

うどんクッキングねえ…。
『茹でて終わり』ではあまり格好がつかない。
ここはもう一品、紹介したい。
いろいろ悩んだあげく。
その家の子供も楽しめるように。
お好み焼きも作ることにした。

しかーし。
鰹節と昆布は日本から持ってきたが。
山芋も、干しえびも、お好み焼きソースもない。
結局。その日から毎晩。会社から帰っては。
ドイツの材料で試作をすることとなった。
そして。試作4日目。
よし。もうイケる。
あー。これでやっと。解放されるーっ。

    **** そして当日 ****

「あ。子供には日本食は無理。食べさせないから」と、奥さん。
いや。お好み焼きは大丈夫だよ。と旦那が言っても。
(注: 旦那は何度も日本に行った事があり、知っている)
「いや。ダメよ。無理よ」と言って聞かず。
子供にはパンとチーズを夜ご飯に与えていた。
あれ〜!?お好み焼きも作る意味が…。ない。
ウーン。なんか予想外な展開。

子供に日本食を与えるのがダメならば。
日本の子供はどうなってしまうのだろうか。と思ったが。
まあ。未知な食事は与えたくないというのが親心であろう。

ここは気を取り直して。
鰹節と昆布でダシを取る。
そして。奥さんが顔をしかめる。
ま。この辺りは想定内。
負けないぞー。めげないぞー。

そうなのだ。鰹だしというのは。
私たちにはいい香りでも。
魚の文化がないところでは。
ただの『臭いもの』なのである。
そして。魚の文化がない国々では。
原料が魚。というだけで嫌がる人がいる。
彼女もその1人で。
お好み焼きに鰹節をふりかかたとき。
とっても嫌そうな顔をした。

そうこうしているうちに。完成。
試作を重ねただけあり、納得の出来。
そして。
奇妙な食べ物をいじるように箸でつっついてみたり。
お好み焼きの上で動く鰹節に、
おっかなびっくりだった奥さんが…。

「お、おいしーいっ!」と言った。

ああ。私はこの一言のために、
5日間。全ての余暇を捧げてきたのだ。
やってよかった。感無量。
しかしまあ。
私たち日本人はドイツ人の食事を見ても。
量以外は大してびっくりしないんだけど…。

なんだか。
ドイツから見る日本は。
日本から見るドイツより、
とっても遠くにみえるなあ。
と思っていた矢先。
「ねえ。日本ではパンとか食べれるの?」と彼女。
ああ…。と、遠い。すべてが遠い…。

ま。ともかく。
全てが終わった。
これで来週から、余暇は自分のために使える。と思い。
開放感に浸りながらコートを着、
じゃあ。またねー。と去ろうとしたその時。
その奥さんは言った。

「じゃ。こんどはスシやりましょっ! 」

ガーン。これは本気だ。
私の週末が。余暇が…。
またなくなる…。

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