2010年12月23日木曜日

ドイツで鍛える生活 #48

**** 不便な生活をフツーにする方法 ****

冷蔵庫を壊したのが先週。
(参照: ドイツで鍛える生活 #47
食料はすべて窓の外に避難させたが。
なんせ寒すぎて凍る。
よって。
卵は破裂のするかもしれないので部屋の中。

しかし。
ドイツの卵は糞がついてたり、
鳥の羽がついていたりして。
まあ、わりと生々しい。
そして。
部屋の中は暖かい。
無精卵だとは思うが…。
もし雄鶏が乱入して犯されていたりしたら…。
『……… 』
もーっ!産まれちゃうーっ!
と。数日、やきもきしていたのだが…。

ハウスマイスター(家の管理&ケアする人)が。
冷蔵庫を見に来てくれた。
で。
『コワレタ。チベタクナリマセン』とだけ。
オウムのように言っていたら(単にドイツ語が苦手)。
本当は自分で壊したのだが、自然に壊れた事となり。
なんか新しい冷蔵庫手配してくれ。
1週間以内にすべて解決。
もー。感激。

なんでこれくらいで感激するのかというと。
基本的にドイツの生活は日本より不便である。
サービス業が発達していない。
(重要視されていないとも言う)
よって。
何かを手配する。
というのがわりと難関だったりする。
(参照: 便利と優雅の関係性 )

そんな中。ドイツ人は。
どう暮らしているかというと。
基本的に自分たちでできる事は自分たちでやる。
(参照: 基本複数形社会
デカイものを買ったら、
自分たちで車の屋根にのせ運び。
引越ししたら。
キッチンを取り付けたり、壁を塗ったり。
まあ。なんでもやるわけです。

で。ここで重要になってくるのが。
周りの人々の協力。となる。
ま。私は単身ドイツに乗り込み。
周りに人がいなかったために。
『鍛える生活』になってしまったわけですが…。

そういや。先日。
ルーマニア人ボスが。
クリスマスイブに休暇でルーマニアに帰る。
という話をしていたのだが…。
12月24日はもう世の中が動いておらず。
(ヨーロッパのクリスマスは日本で言うお正月と同等)
空港から街に行く長距離バスの運ちゃんも休むので。
交通手段がないとのこと。
で。彼の故郷は空港から400 km。

「えーっ。どうやって帰るの?」
「まあ。当日、友達に電話すれば誰かしら車で来てくれるでしょ」
「えーっ。400kmの距離を?」
(東京、大阪間を『今から迎えにきてー』とか言うわけ?)
「友達なら400kmくらいがなんだ?」
(えーっ!往復800 km…)
「オレだって600km の道のりを迎えに行った事がある」

はーっ! やっぱり。
社会が不便であれば不便であるほど。
頼み事もデカイ!
ま。ドイツはここまでの事はないけれど。
でも。基本的な解決策は皆同じなのである。
周りに頼む。
で。世の中が不便な分。
皆。日常的に頼み慣れている。
ってか、12月24日がそんな状況なら。
その日を避ければいいのに…。
というのは日本人的発想なのか。
前もって誰かにお願いしておくとか…。
あー。でも。
別の楽しそうなイベントが後から入ってしまうと。
わりとそっちに平気で行っちゃうのね。皆さん。
よって。前もって約束する意味もない。
(この性質は欧米系共通か、欧米の一部の国に多いのかは不明)

そういや。日々の協力事では。
うちの会社でも思い当たる節がある。
オフィスは駅から3.5km。
バスは1時間に3本しかない。
車で出勤する、とある同僚は。
毎朝。電車で来る同僚を。
駅で拾ってから会社に来たりする。
で。その車のない人、帰りはどうするかというと。
同じ時間に終わりそうな人を捕まえ。
また、『送って〜』と言うわけである。

ウーム。毎日、帰る手段をアレンジ。
これ。私だったら。
毎回。誰かに頼むのがかなり苦痛だ。
20分に1本のバスに合わせて帰る方が気楽だ。

結局。
不便な生活をフツーな生活にするカギは。
周りの人々を使うこと。

これねー。
かなり性格的な変更も要求されます。
30代も半ばから、性格変更か。キビシイ…。

ま。とりあえず。
冷蔵庫が来てよかったー。
卵も外で破裂しないですむし。
(って、なんか冷蔵庫の用途が日本と違う気が…)。
ヒヨコも産まれないで済むし。
だから。無精卵だってばーっ!
でも。ヤラれてたら…ねぇ?

photo: 自然冷蔵庫からフツーの冷蔵庫へ

2010年12月14日火曜日

ドイツで鍛える生活 #47

**** フツーの暮らし ****

冷凍庫の霜を。
ガンガン調理ばさみで削っている途中。
冷凍庫本体のフロンガスのパイプに命中。
プシュ〜っ。プシュ〜っ。
とガスがすごい勢いで吹き出し。
冷蔵庫本体が死亡した…。

あーあ。
固まった霜が。
ごそっとそげ落ちる快感に。
酔いしれた代償は。
あまりにもデカかった…。

大家の冷蔵庫だから。
弁償しないといけないのだが…。
しかし。これ。
金を出しさえすれば即解決する問題でもないのだ。
古いものの引き取りや配達日の手配。
日本みたいに。
配達の時間の指定は細かくできないし。
夜は配達してくれないし。
土日の配達はないし。
(土曜日はしてくれるところあるかも)
で。私は。
配達される時間帯は家にいない。

そして。苦手なドイツ語でのやり取り。
これはまあ。
勉強していないので自業自得であるが…。
ともかく。
このへんの問題をクリアしないといけないのだ。
あーあ。霜取り。
ほんと。余計な事をした…。

ま。気を取り直して。
とりあえず、自然冷蔵庫。
窓の外に食料を移動。

そして。翌朝。
外に出しておいた牛乳を取り出すと。
カチンコチン。

牛乳パックを破き解体し、
四角くなった牛乳を手で掴んで。
包丁で必要な分だけ牛乳を切り、鍋に入れる。
なんだこの生活。
エスキモーか…。

はい。次。
シャワーを浴びる。
あれ〜。お湯が出ん。チベたい…。
時間帯が悪いのか。と思い。
またいそいそと服を着る。

次。
四角い牛乳が液体になったところで。
カプチーノを作る。

さて。シャワーはどんな案配かと。
もう一度試すと。
おおっ。お湯が出たが。
ウーっ。ぬるっ。
どうもうちは外が寒いと。
ぬるーいお湯しか出ないのよね。
まあ。仕方ないのでそのまま浴びる。
あー。ぬる〜い。
もう何ヶ月、熱いシャワーを浴びてないことか。
熱いシャワーを浴びたいなー。

と。まあ。
会社行く前の朝だけでこんな状態。

もーーーーっ!
こんな事。
東京にいた時は思ったこともなかったが。
なんかフツーの生活がしたい…。
どこぞのアイドルじゃないが。
もう普通の女の子に戻りたいっ。
とは言わんが(女子キャラじゃないしね)。
もう普通の暮らしに戻りたいっ!

でも。ドイツ人たちは。
なーんの問題もなく。
フツーに暮らしているように見受けられる。
でも。それは。
なんでだか。
なーんとなくわかるのよね。

次号では。
そのからくりを。

2010年12月8日水曜日

ドイツで鍛える生活 #46

**** ドイツの鋼のハート****

ドイツ語で。
ぜーんぜん…でない。というのは。
ガーニヒト…。という。

昨日。パン屋に立ち寄ると。
カマンベールチーズを載せたパンがあったので。
『カマンベールのパン一つ下さい』と私が言うと。
パン屋のお姉ちゃんは。
「あなたが何言っているか、
ガーーーーーーニヒトわかんないんですけどっ」
と。言った…。

☆×△◎!?
あー。もうびっくりした。
もー。何もねぇ、そんな。
ガーーーーーニヒト(ぜーんぜん)って言わなくても…。
そりゃーね。発音悪いですよ。
『カモベールノパン、イッコクダソイ』
みたいに聞こえたかもしれんよ。
でもね。ゲルマンよ。
他の国では。普通。聞き取れない時。
『sorry? 』とか『えっ?』って聞き返すものなんですよ。
『パン一個下さい』で。
いきなり。
『あなたの言っている事、
ぜーんぜん、わからないんだけどっ』
と、客に言わないのよー。

しかし…。
これがドイツなのだ。
で。こういう事がよくあり、凹むのだ。
ま。ドイツの洗礼みたいなもんです。

で。この洗礼がなかなか慣れない。
私なんてもうドイツに計3年以上いるが。
(ドイツ撤退&参戦を繰り返して計3年半)
今だにすごいダメージを受ける。

昨日は。ガーーーーニヒト。
と。パン屋で言われた瞬間(これまた表情もコワイ)。
胸に直径20cmの真っ黒い穴がぽっかり開き。
急にしょんぼり…。
気の抜けた幽霊みたいになってしまい。
怒られながら買ったパンの袋をぶら下げ。
なにも。そんな。
ガーーーーーーニヒト
って言わなくても…ブツブツ。
と。うなだれながら。
テクテクと40分ほど歩き会社に行った。

そう。ここでは。
いちいち壊れているような。
もろいハートでは住めないのだ。

しかし。
いちいちヨロめいている私でも。
わかっているのだ。
彼らが怒っているわけではないことを。
パン屋のお姉ちゃんも怖いバスの運転手も皆。
普通に言っているだけの感覚しかないことも。
そして。その。
はっきり言うのが。
ゲルマン流のやさしさだということも。
私は知っているのだよ。

でもね。
そのゲルマン流のやさしさを本当に理解し。
それがやさしさだと感じられるようになるには。
ガラスのハートではダメなのだ。
はがねのハートを持ちあわせて。
初めて理解できるもので。
おそらく。鋼同士で同じ土俵に立ち。
ぶつかると見えるものなのだ。
片っぽが土俵に立つ前から。
あ〜っ。ヨロヨロ。と倒れていては。
鋼のハートの神髄は理解できない。

強靭な鋼のハートか。
なーんかあんま持ちたくないような響きだが…。
持てばゲルマン社会で楽になるのは確かだ。
しかし。鋼のハートを得ると。
何か失うような気がする…。

さあ。今日も。
パン屋に行かねば。
昨日と違うパン屋にいこっと。
でもあそこのオネエちゃんもコワイのよね…。

よしっ(←気合い)。
強靭な鋼のハートを持って。
パン屋へ行って参ります!
あー。そんなもん。持ちたくねー。

2010年12月6日月曜日

ドイツで鍛える生活 #45

 **** アウトロー病再発 ****

夜。会社帰り。
大寒波到来。
頭をニットキャップ+ダウンのフードで覆い。
足はヒートテック+ ジーンズ+ロングブーツ。
で。完全防備のつもりだったが…。
ダウンジャケットをもってしても冷気が染み入る。
ウ〜。布団を着ていもダメってことか。

バスはあと20分来ない。
フリースの手袋も既に意味なし。
まずい。これは動くしかない…と。
次のバス停まで歩き始めたが。
これが間違った判断であった。

歩いて温まるかと思ったが。
ビュンビュンとマイナスの風が吹く郊外では。
一歩一歩、前進するのがやっと。
温まるどころか体力が消耗するだけ。

ヤバい。この遅さでは。
最終バス(19:30)を逃す。
逃したら死んでしまう〜。
うーっ。手が…。凍傷になるー。
(街から4キロの郊外で凍傷はおかしいっ)
顔がイテー。
そして。顔からは機能障害のような鼻水が流れ出るが。
どうすることもできず。
周りはというと。
暗闇の中を。
車がビュンビュン走っているが。
歩いている人なぞ人っ子一人いない。
あ。チャリンコが一台通った。
が…。彼はもう目以外、全て覆われていた。

『寒い』という形容詞を超え。
ただ。ひたすら。
イ、イタイ。ヤバイ…。これは…まずい。
と心の中で繰り返した。

きっと。この瞬間。
私は植村直己に近づいたんじゃないかと思う笑。
(↑おこがましい)

まさかバス停1つ歩くことが。
こんな冒険になるとは思いもよらなかった。
おそろしや〜。ドイツ。

しかーし。
この寒さとももうすうぐお別れ〜。
そう。今や。私のライフワーク。
レッツ・ゴー・ジャパン!
日本へ向けての就職活動!
(参照: リューベック脱出計画

しかーし。
再びチャレンジしたものの。
書類であっけなく敗退…。
実は。今回。
あっ。この会社。気が合う!
と思っていたのだが。
そう思っていたのは自分だけであった…。
さすがに今回は反省。甘かった。
以下。私の分析↓

    * * * * * * * * * *
日本では派遣切りだけど。
見ろ!ドイツでは雇われたぞ!
アハハ〜。人生初の正社員。と。
私は。ず〜っと。
恥ずかしい勘違いをしていたのだ。

そもそも。
なんでドイツで就職できているかというと。
ドイツでは。
フルタイムで働く場合=社員。
というカテゴリしかないので(基本ね)。
日本では派遣レベルの仕事の技能しかなくても。
自動的に会社員になるわけである。

しかーし。
日本では。これは。
社員レベルでなく派遣レベルの仕事なのだ。
つまり。
30半ばの人が就職するには。
最低でもプロジェクトリーダークラスでないと難しい。
       * * * * * * * * * *

きっとこんな感じなのだと思う。
というわけで。就職断念。
日本でアルバイトから始めようと。
考えを改めた。

しかし。これ。実は…。
私の永遠の夢 、アウトロー。
に近づいているのではないか。
(私のビョーキ。参照: アウトロー
とも思ったりもするが…。
やはり違う。
稼げないアウトローはプータローである。

だいたい。
結果として社会から外れるのがアウトローで。
アウトローに憧れている以上。
それはアウトローにはなり得ないのだ。

よーし。アルバイト探し。
こうなったら。
絶対。面白いことやってやるー。
そう。諦めなければ。
道は開けるはずなのだ。

ン!? いや。
また勘違いしているのだろうか。
ま。とりあえず。
呼ばれてもいないのに。
日本に参戦するわけだから。
乗り込み時期を自分で決めますか。

よーし。
バイトで小銭をかき集める生活からスタートだ。
きゃー。なーんか。
アウトローみたい!

と。思っている以上。
自分はアウトローじゃないんだよな…。
(↑ビョーキだからこうやって日々言い聞かせることが大切)