2009年12月29日火曜日

ドイツで鍛える生活 #4

**** 優雅と不便の関係性****

さて。ドイツ。
ドイツって。なんかこう先進国なイメージで。
会社の夏休み1ヶ月なんでしょ。とかいうイメージで。
優雅な生活のイメージである。
確かに。土日とか皆お休みで。
無意味に川辺とか海辺を散歩している。
なーんか。優雅だ。
しかーし。
実際私がどんな生活をしているかと言うと…。

交通手段はバスのみ。
ラッシュアワーで15分に一本。土日は30分に一本。
よって。自転車が必要になるのだが。
自転車屋が18時で閉まるため、会社に行っていると買いに行けず。
宅急便は平日の昼間のみの配送。
よって。日本から送った荷物が未だ受け取れず。
日曜日にチョコレートが食いたいなあと思っても。
すべての店が閉まっているため買いにいけず。我慢。
コインランドリーをやっと見つけたのだが。
家から遠いわ異常に高いわ、プラス、日曜日は閉まっている。
というわけで。洗濯はほぼ毎日手洗い。
という、なんですかこれ。修行ですかー?
みたいな生活なのである。

つまり。
みんなが残業しない、みんなが18時で帰宅する社会。
みんなが土日に休む社会というのは。
裏をかえせば。こういうことなのですねぇ。
ま。田舎の街だからでしょ。って話も大いにあるが。
ベルリンだって日曜日、店は閉まっておる。

便利な社会はみんながたくさん働かないと成立せず。
みんなが働かない社会というのは、
不便な社会で我慢をするということで。
この負の部分を受け入れずして。
便利さの方を選んだ日本が。
ヨーロッパ諸国の休暇のあり方を羨んではいけないのである。
便利さを手放さない限り、
満員電車と残業地獄からは逃れられないのだ。
ゆとり。ゆとりある生活と言うが。
日本よ。その便利さを手放せますかー?

今日、食料が買えない。
カスタマーサービスの返事は2週間くらい後かな。くらいの覚悟。
それを受け入れて。
初めて、優雅な生活ができるのである。
優雅とは。
実は。不便な生活なのだ。
そして。
不便な生活は、優雅に見えるのだ。
そして。便利さを望まない限り。
それは優雅になり得るのだ。

ま。私の生活は不便でも優雅に見えませんが…。
これは何かが間違っているからで…。

とりあえず。
わたしの望みはタダひとつ。
洗濯機で洗濯したーい!
自転車を買いたーい。
あ。二つか。
ともかく。これらを得ない限り。
罰ゲームな生活はまだまだ続く…。

2009年12月21日月曜日

ドイツで鍛える生活 #3

**** 想定外ドイツ職場編 ****

日本で派遣切りになって。
ドイツの片田舎の街で。
画像編集ソフト開発会社に就職した。
35歳にして人生初の正社員である。

はて。こちらの会社。
もうすべてがびっくり。
勤務時間ノーチェックのため、
遅刻、早退とかの概念が存在せず。
なーんとなく10時くらいまでに来ていればよく。
ヘッドホンで音楽聞きながら仕事し。
昼はキッチンで料理してたりとか。
ジョギングに出かけたりとか。
まあ。やることやっていれば何していてもよいらしい。

職場は70%ほどドイツ人。残りは外人という構成。
ってわけで。私の想定では。
おおー!これは。
私の言語障害も時と共に良くなるのではないか。
英語もドイツ語もグイグイ上達し。
いいんじゃないの~?
という淡〜い期待があったのだが、甘かった…。

なんと私のプロジェクトチームは全員ルーマニア人。
ルーマニア人に囲まれているわけです。
というわけで。
全員、多かれ少なかれ言語障害児。
言語障害がよくなるどころか。
お互いの訛りや独自の文法に慣れることが先決となり。
"He don't 〜"みたいな独自の言語を習得している。
すんません。
人を利用して言葉を学ぼうという私が間違っておりました。

しかし。なるほど。こう来たか。
想定外であった…。
しかしまあ。ルーマニア。
共通の文化のバックグラウンドも何もないので会話が難しい。
話というのは。
文化や知識のバックグラウンドの共有。
というものがあって初めて成立する。
それがないと。
深い話、色つや(エロの意でない)のある話というのは成立しない。
つまり。
こんどの髪型、大木ぼんど目指すから!
と言っても通じないわけで…。
前髪短くて、後ろはまっすぐの整えた感じの髪型。
と。色もヘッタくりも面白みもない表現となってしまうわけです。
そんなわけで。
会話といえば天気の話とか。
ルーマニアではどうなの?
といったお国事情に話を振るのが限界で…。
それでは職場の人間的価値としてはイマイチなわけです。
なぜならば…。

仕事がデキるやつなんてごまんといる。
自分がいなくたって社会は廻る。
総理大臣にだって代わりはいる。

となると。職場での人の価値観というのは。
1. 毎日9時間顔をつき合わせても生理的に受け入れられるか。
2. 一緒にいて楽しいか。
というところが肝となってくる。

もう中年だし。外見も奪われつつある中で。
会話という武器も奪われた今。
はあ。君はどう価値ある人間になれるのか。

なんだ?
キラキラした目か、はたまた雰囲気か?
しかし。
普段からイケてる生活をしていないと。
そんなもんは得られんわけで。
こりゃー。立ちはだかる壁はでかい。
外見と会話以外で君は何を勝負できるか。

こりゃー。毎晩。
夜9時に寝てる場合でない…。

p.s. ここ2日ほどマイナス10度。一歩、外でりゃ体力奪われ中。

2009年12月13日日曜日

ドイツで鍛える生活 #2

**** そうは問屋は卸さない ****

日本から送ったギターが行方不明になり。
翻弄されること数日 (参照: ドイツで鍛える生活 #1)。
関税局から取りに来いとの通達が。
取りに来いって…。家に配達してくれないなら。
何のための 宅急便(EMS国際スピード郵便)なのか。

仕事前に朝っぱらから関税局へ。
関税局は郊外にある。
バスで永遠と揺られること45分。
着いたが、ドイツの朝7:30は真っ暗。
真っ暗でストリートの名前も見えんわ。人もいないわ。
通り過ぎるのはタイヤが自分の身長くらいある巨大なトラックだけ。
それがビュンビュン行き交う。
歩いている人もいないし。
帰りのバスもいつ来ることやら…。
こんなとろろにポツンと一人、降ろされても…。
(いや、まあ。自分で降りたのですがね…)
きゃー。
もー。こうやって。人って拉致されちゃうのかもーッ!
と大いに不安になったのだが、
使命: 関税局を探す!やらなければこの無人島を出れん!
と自分を奮い立たせ、ウロウロしていたら見つかった。

はて、関税局。
すぐ終わりかと思いきや、そうは問屋が卸さず。
引越しの荷物であること。
売り物でないことを説明、証明しなければならず。
手続きにかかった時間、1時間半。
物事、思ったとおりには行きません。
で、ギターを抱えたまま職場へ直行。

私が今回、就職したのはドイツの会社なのだが。
私の想像では。
仕事は皆、英語で会話するし。
ドイツ人達同士はドイツ語で話すから。
私の言語障害も良くなるんじゃないかー?
と思っていたらどっこい。
そうは問屋が卸さないのであった…。

やっぱり。物事って、全て想像と違うのね。

p.s.次号はその想定外な職場事情を。

2009年12月7日月曜日

ドイツで鍛える生活 #1

**** 人生の極意 ****

おお。これは想像と違う。とか。
おお。これは想定外であった。とか
おお。わたくしは間違っておりました。とか。

人生はよい意味でも悪い意味でも。
期待や思惑や信念を裏切られることだと思う。

はて。
ドイツ来て初の週末。
こんな誰もいない地の果てまで来てしまったし。
週末と言っても友達いないし、
2日間、誰とも口を聞くこともなかろう。
と思っていたら。どっこい。
 やはり、想像したことは起きず。
(参照: (続2)自説: 想像したことは起きない )
1日で10人以上と話すこととなった。
 というのも。
日本から送ったギターが届かず、
行方不明になっていることが判明。
同じアパートの住人のドアを。
一軒一軒ベルを鳴らし。
『私の荷物を探しているんですが知りませんかー』
と訪ね歩くことに。
親切に対応してくれる人もいれば、
『ないよ。そんなの』と。
煙たがってすぐドアを閉める人もありーの。
もー。これ。なんですか。罰ゲームですかー。
一軒一軒って…。
しかも、ドイツ語レベル3歳児以下なのに。
結局。誰も私の荷物を預かっていなかった…。

で。
 郵便局は閉まっていたが。
DHLの配送ドライバーを道端で発見。
迷ったが、ここでドライバーに遭遇するなんて。
もしかしたら。 ああ。
天が恵んでくれた運かも!ありがたやー。
ちと恥ずかしいが思い切って話しかけた。
「私の荷物を探しています。しりませんかー?」
「うーん。普通は家に居なかったら、不在票が入っていて。
どこの家に預かってもらっているか書かれているはずだよ」

そうなんだけどね。
『普通』でないことが起きるのが。私なんですよ。
やっぱり。これも天の恵みでなかった…。

もー。私の後ろに付いている人(守護霊っつうんですか…)、厳しすぎ。
試練与え過ぎでしょ。
さあ。月曜からまた荷物の捜索がはじまります。

こんどはポストに電話するかねえ。
電話ないから会社から電話しちゃおうっと。
でも。お願いだから荷物、出て来てください。
そこまでの試練を与えないでくださーい。

だって。次は。
よい意味での裏切りがある番でしょ。

2009年12月5日土曜日

ドイツへ引越 #7

**** あの世に到着 ****

成田で両替できなく大いに心配したものの。
ロンドン、ヒースロー空港であっけなく円からユーロに両替できた。
(ポンドにしか両替できないと思ってたのよね)

ドイツ、ハンブルグ空港に到着すると。
私の名前を掲げているおばちゃんがいた。
会社が手配したタクシーの運転手らしい。
やせ型でピッタリしたジーンズに前髪を盛り上げた80sスタイル。
ブルーのアイシャドーにタバコがよく似合うかんじ。
これぞジャーマン代表の中年女性といった風貌だ。
イメージとしてはこんなかんじ(リンク)。

タクシーに揺られること1時間。
ビュンビュン飛ばしているのにまだ着かない…。
なんか地の果てに来ている…。
窓の外を眺めながら。
すごいところに来てしまった…。
と、哀しくなってきたところ。
 1時間半後にやっと着いた。

アパートのドアを開けると。
こんなものが出迎え、
なんかちょっこっとだけ気分が晴れた。(photo↓)
 しかーし。
あの世は入るとき、景色は眩しく魅力的で。
お花畑があるっていうけれど。
これがきっとそのお花畑にあたるもんだな。

ウーン。
お花畑に足を踏み入れてしまった。
さあ。この先もお花畑だといいが…。
そんなわけはないのだー。

本日、初の週末。
郵便局に13時に行ったら。ちょうど13時に閉店。
自転車を買おうと14時30に自転車屋に行ったら。
14時閉店で間に合わず。
そして。
コインランドリーに行く足もないので。
1週間分の洗濯物を手洗いした(泣)
これ。生活自体が罰ゲームにちがいない…。

2009年12月1日火曜日

ドイツへ引越 #6

**** 電波少年的旅立ち ****

あの世へ…。
出発の日がついに来た。
総荷物30キロ。
重たーいバックパックを背負って。
行商の婆さんのように『くの字』になって歩いていたら。
品川で成田エクスプレスに乗り遅れてしまったー。
ガーン…。
慌てて東京駅に向かうも、行商のバアさん状態なので。
慌てている気になるだけで前進せず。
その上、なぜか東京駅で迷子になり。
もう荷物は重いわ、ヒートテック2枚重ねにダウンジャケット、
と6枚も重ね着してるので暑くてもうろうとしてたところ。

 通りがかりの駅員に
「お客さま〜!こちらでーす!」と連れていかれ。
別のエクスプレスにタダで乗せてもらった。
しかーし。
予定時間、40分オーバー。

成田に着くと電光掲示板が。
『BA 6便、 Go to Gate』ピカピカ~。

キャー。まだチェックインしていないのにー。
しかも手荷物オーバーだし。乗せてくれるのかー。
機内持ち込み荷物、クリアした。よし!

『Go to Gate』 ピカピカ~。
キャー。両替が…。
キャー。その前にトイレー。
あれ〜? チケット…。
キャー。トイレに置いてきてしまったかもー。
あり得ん…。
あったー。ポケットに入ってたー。
キャー。両替が…。

あー。そのままゲートへ。
ああ。両替が…。
搭乗…。
私を乗せたヒコーキは。
第一通過地点、ロンドン、ヒースロー空港に向け飛び立った。

このまま。
1ユーロももたぬままドイツに着いてしまうのかー。
あーあ。ハンブルグ空港にタクシー、迎えにきてるのに…。
タクシー、クレジットカード使えないのに…。
えっ…。無銭で到着 !?

でも。一番大切なのは。
私が到着することよね。
一文無しでも身体がドイツに行けばなんとか…。
と、気を取り直したあとヒースロー到着まで12時間寝続けた。

あー。本当に電波少年になってしまうのか!

**次号へつづく