2011年4月19日火曜日

ドイツで鍛える生活 #56

**** 勤務最終日 ****

ドイツで会社を辞めるの時は、
日本と同様、こっそり辞めるものらしい。
ということがわかり、
残り日数がわずかとなってからも。
淡々と日々の勤務をこなしつつ、
少しずつ、自分のオフィスを片付けたり、
コンピュータのデータを消したりして。
沈黙を守っていた。

そして。最終日。
さすがにやることもなく手持ち無沙汰。
ボスから皆に。
一斉メールが出る事になっていたのだが。
一向に出る気配がない
やっぱり。
外国ではいちいち催促しないといけないのかなあ。
と思っていたところ。出た。
『マユゲが日本に戻る決断をしました。彼女の貢献に感謝し云々~。 thank you

すると。
同僚たちがポツリポツリと私のオフィスにやってきて。
えーっ。知らなかったよー。なんでー。
と口々に言うので、

ウーン。いい街だけどね、
やっぱりここは小さい街だし、
家族主体だから。
独り者が住むには難しいところだよね。とか。
当たり障りのない返事をしていたのだが。
一番仲の良かったルーマニア人の子は悲しそうな顔をして。
「じゃあ.....君はロンリーだったんだ」と言った後、
うつむいてしまった

えーっ。ロンリー。って
そうか、私はロンリーだったのか。
ウーム。ロンリー
ロンリーって改めて言われると。
元もこうもないし。
なんだかものすごーく小恥ずかしい。
ロンリーねぇ

そして。
人が集まればいつものごとく。
『テーブルサッカーしよっ!』となるので、
よーし、最後の試合だー。と
テーブルサッカーをはじめようとしたその時。
1人のルーマニア人が。
「君はボクが初めて会った日本人なんだ」と。
ボソっと言った。
すると横にいたインド人も。
「ボクもだよ」と

いや。まあ。
おそらく、そうであろうとは思っていたが。
改めて言われるとなんかずしっと重い。
私は過去にも。
インド人もルーマニア人も身近にいたし。
話したこともある。
しかし彼らにとっては。
私が初めての日本人であり、
おそらく。最後の可能性も高い。

つまり。私の一挙一動が。
彼らにとっては。
私の行動でなく、日本人の行動なわけです。

出社時間は遅く、
椅子の上であぐらをかいて仕事をし、
そのまま隣の部屋くらいなら、靴を履かないで行く。
こっちでは非を認めないのが常識なのに。
あっけなく。
『あ。ごめーん。それ、私のミスだ』とか平気で言う。
チームランチで作るごはんは。
なんか得体の知れぬもの(やきそば)が出て来たりする。

というわけで。日本人は。
朝が遅く、靴を履かないで、すぐ謝るんだよー。
で、ごはんもなんか変なの作るの。
って伝わるわけですね。
もー。日本の皆様、申し訳ない!

その後。入れ替わり立ち代わり、
色んな人とテーブルサッカーをした後。
色んな人のところに立寄り、
最後の挨拶まわり。
このへんも日本と同じである。
違うのはハグしたりすること。
しかし。これ。外人だから違和感ないけど。
日本だったら。
会社で隣のおっさんとハグして別れるとか。
あり得ません。

で。最後の決まり文句は。
キープ イン タッチねー。
みたいなことをあちらこちらで言い合うわけです。
これも、まあ。親しい度によって。
単なる挨拶だったり、義理だったり。
本気だったりするわけです。
この辺りも日本と同じ。

そして。外国では。こういう時。
Facebookのアカウントを交換するのが通例なのだが
うかつにもボスとも交換してしまい。
ブログのリンクを貼ってあったため、
この『ドイツで鍛える生活』もバレてしまった。

「あ。でも。日本語だから読めないよ」と私が言うと。
グーグル翻訳で読むから大丈夫」とボス。
……
けっこう職場の事書いているしなあ。。。まずいなあ。
でも。所詮、機械の翻訳だしいっか。
「ほーら、こうすれば、君がブログをアップしたとき、
自動でメールで知らせが来るし』
と。ボスはRSS登録なんかもしてみせた。
……
(なんかいやな予感

そして。
会社のIDカードと鍵を返し、
オフィスを去った。

家へ向かってテクテクと歩くと。
風がきもちいい。
空もきもちいい。
そう。自由だ。自由なのだー!
仕事という足かせが取れたと同時に無職になっちゃったけど。
もー。異様なる解放感!

もう東京に帰れちゃうぞー。
帰ったら『ちょっとお茶しない?』とかできるのである。
微妙なニュアンスの会話だって楽しめる。
車がなくても行きたいところに行ける。
気軽に地下鉄や電車にヒョイっと乗り。
帰りたい時はいつだって電車に飛び乗ればよい。
自力で気軽に移動できるのだ。
寒くないからオートバイだって買えちゃうぞー。

そして。
遂に。金曜日の夜から月曜日の朝まで。
一言も喋らない無言行の生活とも、
お別れなのであるが
(つまり会社以外で喋り相手がいないわけ。ま。努力しなかった私の責任も大きい)

実は。これ。
裏をかえせば『超自由』ということでもあった。
究極の自由は常に孤独とセットである。
『孤独でなくなる』とは。
『自由でなくなる』ということだ。
私は。孤独を捨てるのと引き換えに、
自由も捨てる

バイバイ、ロンリネス。
バイバイ、フリーダム。

 * * * * * * *
ともかく。
実は。自由を捨てているのだが。
なんだかわからぬ解放感にひたりつつ。
テクテクと歩き家に到着。
ボスの言ってたグーグル翻訳で自分のブログを英語に訳してみる。
ガーン!わかる
けっこう何書いているかわかる
慌ててグーグル翻訳をかく乱させる書き方を研究すること数時間。
まずい部分を書き直すこと数時間。
解放感もすっとんだ。

あー。くだらない。
もー。何やってるんだろ。

(もう読んでないと思うので、普通の書き方に戻しました)

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