2011年5月3日火曜日

ドイツで鍛える生活 #59

**** ドイツ撤退への道 #3 ****

さて。
私の引越しは30kgのダンボール2箱程度。
引越し業者は使えないけれど。
えっこら郵便局まで運ぶのは無理という…。
超中途半端な引越しなのである。

日本だったら宅配業者なり、
郵便局なり(EMS)に電話すれば。
ダンボール1個でも取りに来てくれる。

しかーし。ここはドイツ。
生活の基本は。
『なんでも自分たちでやる』ことである。
集配サービスなぞない。

彼らにとって。
サービスなんつう物体のないものに。
金を出すなんて意味不明なのだ。
周りの人々と協力すれば済むことなのである。
言い換えれば、助け合いの社会。
ドイツ人は堅実(またはケチ)と有名だが。
皆の『一銭たりとも余計な金は払わん!』
という覚悟はすごいんだから。ホント。

このサービス業のない社会は。
すごい不便なのであるが。
あの財布の紐の堅さを見ている限り。
国民が自らそう望んでいるのではないかと思う。
よって。
この国のサービス業が発達することはきっと…ない。
もし。それが受け入れられた時は。
おそらく『助け合い』の社会も崩壊したときだろう。

ま。そんなわけで。
集荷のサービスがないなら。
自分たちでやればいいのであるが…。
便利な社会からこの社会へ飛び込んだ私は。
その自分たちの『たち』の部分が欠けているのである。
会社のボスなんかにも頼めるが…。
エレベータないし、5階だし、30kgだし。
ボス。腰抜けちゃったりして〜。とか。
運んでもらって『じゃあね』じゃ、失礼だし〜。
そのあとにカフェでも行っておごるか。とか。
でも。あの人と会話。弾まないんだよなー。とか。
『助け合い』『頼み合い』の社会に慣れていないもんで。
グチャグチャ考えているうちに面倒くさくなり。

えいっ。悪いクセだが金で解決。
高いけど。日系の運送会社に頼む。
さすが。日系。
一箱から取りに来てくれる。
当然、日本人のいないリューベックに支店はないので、
どっかのドイツの運送会社に委託される。

日系といえども。
もうリューベックに来る時は、
日系の「に」の字もないドイツの会社である。
ドイツの会社では伝言が伝わってなかったり、
重要な書類が回ってなかったりすることがよくある。
つまり。事務処理があまりできない。
果たして約束通り来てくれるのか…。

ところで。
ドイツの集合住宅では。
一階にメインエントランスがあり。
そのドアの外側に、
アパート全員の呼び鈴と名札がある。
郵便や配送などはここに名札がないと。
住所は合っていても持って帰られてしまう。

* * * * 荷物ピックアップ当日 * * * *
こんな重要な時に。
表札をいたずらで剥がされていたらいかん。と思い。
(ドイツ。わりと自転車泥棒とかイタズラとかが多い)
確認しに1階へ下りると。
えーっ。表札が次に住む人の名前になっているーっ!
ハウスマイスター(家の管理人)が気をきかして。
もう次の人の名前を貼っていたのだ。
もー。ドイツ人。
いつも仕事ちゃんとしてくれないのに。
なぜ、余計なところだけ、早いのだ。

慌てて、自分の名前もセロテープで貼る。
しかし。
通りがかりの若者にいたずらされたら悲しい…。
(↑まだ言ってる。ビョーキ)
1階のメインエントランスがガラスドアなので。
内側からもテキトーなドイツ語でメモを貼る。
『メモ: マユゲに用の方はxxxさんのベルを鳴らしてください』

よし。これで剥がされたとしても、
集配の人が帰ってしまうということがない。
完璧。ふう。あぶなかったー。

メモ:  マユゲ(に用の方)は yyyさんのベルを鳴らして下さい




















そして。金曜日。午後4時。
4時までにとりに来るはずなのだが来ない…。
やばい。週末になってしまう。
週末、ドイツ社会は止まる。
もーっ。今日、来なかったら、
私、月曜日の飛行機乗れないよー。
と思ってたら。
午後4時20分。来たー!ばんざーい!

やったー!
荷物。ちゃんと取りに来てくれたー!バンザーイ!
指定した日に取りに来てくれただけで。
もー。大感激!
ま。日本じゃ当たり前の事なんだけど…。

が…。あれ?!
控えの伝票もらわなかった…。
あのおっちゃん、なにも確認しなかった。
日本だったら。
ドライバーが伝票を確認し、サインして。
控えを渡し、伝票を荷物に貼って。
『では。確かにお預かりしました』となるわけだが…。

あのドライバー。
『あ。荷物これね。じゃあねー』だけだった…。
私。サインもしていない。
で。伝票をピラピラさせたまま。
荷物にさえ貼らなかった。
あれじゃあ。荷物と伝票がはぐれてしまうーっ!
荷物紛失の可能性大である。
で。『控え』を貰い損ねたので伝票番号さえわからない。
紛失してもトラッキングできないし、
伝票がないのでは、20万円かけた保険もおじゃんである。

『…… 』
もう自分のバカさ加減に腹が立った。
この『鍛える生活』を通して。
ここでは世の中は。
自然に回るものでなく、
自分で押して回すもの。
何度も確認して押す姿勢が大事であると。
あんだけ思い知ったはずなのに…。

『やったー。荷物とりに来てくれたー』と。
その感激だけで。
全てがすっとんでしまった…。

           * * * * * * *
ハイ。次。気を取り直して。
口座の金の移動チェック。

3日前。銀行にて、全財産を。
日本の自分の口座に移動したのであるが…。
えーっ。ない。
送金先の日本の口座にもないし。
送金元のドイツの口座にもない。

どこにいっちゃったのー。
私の全財産。

しかし。もうドイツを飛び立つ日がきました。
いろんな問題を残しつつ。
次回は。さようならドイチランド。

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