2011年5月19日木曜日

ドイツで鍛える生活 #60

**** さようならドイチランド ****

さて。いよいよ。
ドイツ撤退の日。
行方不明になっていた、
ドイツの口座から日本の口座へ移動した全財産は。
(参照: ドイツで鍛える生活 #59)
ちゃんと日本の口座に反映されていた。
ふう。送金に4日間ですかあ…。
何でも時間かかるなあ。ほんと。
(まあ。タイミングなども悪かったのかも)

さて。例の暖房代問題。
参照: ドイツで鍛える生活 #58 )
光熱費の検針が1年に一度なので。
次の暖房代の精算が7ヶ月後。
というわけで、
銀行口座を開きっぱなしにして、
引き落とされる予想額を
残しておかなければならないというやつ。
ウーム…。

ドイツでは、暖房代は家賃に上乗せされているのだが。
それは単なる前年度を元に計算された予想額にすぎない。
まあ。言ってみれば。
日本でいう税金の年度末調整、
みたいなシステムと同じである。

同僚のルーマニア人は。
夫婦ですんごい暖房使ったから。
超過料金は400ユーロだった。と言った。
別の人はあんまり使わなかったから100ユーロ返ってきた。と。
家の管理会社の人に予想される額を聞いてみたが。
返事がなかった…。

ふむ。やっぱりねえ。
そう簡単にこっちの人は仕事してくれないよねえ。
と思っていたが。
ふと。退職した会社のメールボックスを見てみた。
あれ?! まだ会社のメールが見れる。

あーーっ!返事来ている。
もうこっちにメールするな。って言ったのにーっ!
もー。ドイツって、
物事がほんと伝わらないのよねー。
初歩的、事務的処理ができないというか、
なんというか…。なんで?

で。そのメールを開けてみると…。
   
                          * * * * * * * * * 
あなたは沢山、暖房を使ったようです。
私の計算によると。
敷金を差し引いても超過料金445ユーロです。
よって、敷金は返せません。
445ユーロを今、払ってくれれば、
それで精算を終えてもよいです。
                         * * * * * * ** * * *

ハ!?  超過が、敷金プラス445ユーロ?
敷金いくらだったけ?
忘れたが敷金、400ユーロくらいだったっけか?
えーーっ。となると。
暖房代の超過料金が10万円?え。1年で?
そして、添付されている計算書を見る
(写真、計算書の一部、クリックで拡大されます↓)















なんかわけがわからん…。
というか。
もう数時間後にはドイツを撤退するので見ていられん。
しかーし。日本に行ってしまったら。
もうオンラインバンキングもできない(注)
慌てて、指定された額をオンラインで支払う。
ウーム…。
(注: ドイツの私の銀行では、オンラインバンキング時に使用する暗証番号はその都度、携帯にSMSで送られてくる。つまり、暗唱番号が毎回異なる。よって、ドイツの携帯を持っていて、SMSが送られる圏内のヨーロッパにいないとオンラインで振込みなどできないシステム)

ハイ。次。
まだいろいろな書類が来るであろうから、
ポストにメモを貼る。
『マユゲ宛のものもxxさんのところに入れてください』





と、書いたつもりだったのだが…。
最後に動詞を書くの忘れた…。
まあ。意味はわかるだろう。
撤退準備完了。

そして。
鍵を次の住人に全て渡し、
ドアを閉めた。
さようなら、私の家。
空港行きの長距離バスに乗った。
さようなら、リューベック。
飛行機がとんだ。
さようなら、ドイチランド。

ウーム。
もっと住んだら、きっと。
もっといいところが沢山、見えたのだろう。
10年ドイツに住んだ人は。
この『ドイツで鍛える生活』を読んで。
違うっ。って思うこともあるだろう。
私の見聞記は、
ただの偏見記だったかもしれない。

     * * * * *
子供のころから。
バカの一つ覚えとして。
憧れ続けた、外国。
憧れ続けた、欧米。
憧れ続けた、外国で自立する生活。

日本じゃない国で。
そこの土地の人々と同じように働き。
同じように給料をもらって。
その土地の平均的な生活をしてみたかった。

日本人のいないところで。
サラリーマンになった。
憧れは。たぶん、現実になった。

ただ。
隣の芝生は青く見えたけれど、
自分の芝生だって本当は青かった。
ということだ。

経験とは。おそらく。
自分の今までの価値観を崩すためにある。
『思ったのとちがった』
というのは、一歩、進んだ。
ということだ。
そういうことだ(←強引にもっていきます)

   ****そして。撤退2ヶ月後 ****

多摩川の川べりを歩くと。
毎日歩いた、リューベックの川のあぜ道が。
フラッシュバックする。
本当に遠くまで来てしまった。と。
思いながらトボトボ歩いたあのあぜ道。

あの光景はつい最近の日常だったのだが。
長い夢だったような不思議な感覚。
いつも多摩川を歩く度、
あの世界に引き戻されるが。
多摩川。という引き金がなければ、
本当に記憶から埋葬されてしまいそうな
そんな、あやふやな記憶の中だけの世界。
あの世界は一体、何だったのだろう?

あ。そういえば…。と思って。
ドイツの口座の出入りをオンラインで見る。

あれ〜っ!?
いまだに引き落とされていいる〜。
毎月35ユーロ(4000円)、インターネット代。
手違いだー。
なぜにこんなにも事務処理ができないのか〜っ!
ドイツ〜っ!もー。いやだー。

ン!? 実は…。
あの暖房代も向こうの間違いではないか?
撤退のどさくさに紛れ、敷金が当てられたりして。
わけがわからなくなったが。
一体、全部でいくら払ったのか。

ムムっ。
超過料金、1200ユーロ(14万円)ではないか?
これはあり得ん!
毎月、暖房代を含めた光熱費を払っているし。
暖房に14万円の超過とかあり得んでしょーがーっ!

やられた。
やられたー。

あー。ドイツで鍛える生活。
修行は全然足りてなかった…。

ま。そんな事を東京の青空の下で嘆いても。
仕方がない。
次へ進もう。次へ。
過去に戻るのは簡単だ。
前へ。前へ。

いや。前を見すぎてもいけない。
今。だけを。
過去も未来も今についてくる。


おわり







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