2010年11月9日火曜日

ドイツで鍛える生活 #42

**** 時空と異次元 ****

三途の川を渡り。
あの世(=リューベック)に来てからもうすぐ1年。
たった1年なのだが。盛り沢山すぎて。
自分としては7年くらいに感じる…。
日本に居たことがもう遥か昔なのだ。

なんといいますか。
浦島太郎が竜宮城で経験したように。
人間。あまりにも異次元に来ると。
次元だけでなく時空をも超え。
時間という軸にさえも異変が起きるのだ。
まあ。私は。時間という軸を信じておらず。
時間が一定であるとも思っていないのだけれど…。
(アインシュタインのように説明できないので割愛す)

ま。ともかく。
その地球の時間軸で言うところの1年前。
あの日。あの世の入り口。
ハンブルグ国際空港…。
この『鍛える生活』も。
そこからすべてが始まった…。

             * * * * * * * *
飛行機がハンブルク空港に着陸すると。
天井からビートルズの"Norwegian Wood"が流れ、
過去の記憶がどっと蘇り、激しく動揺したのは。
村上春樹の『ノルウェイの森』に出てくる "僕、37歳" であるが。

1年前。同じく"マユゲ、35歳"も。
ハンブルグ空港に到着すると。
ノルウェイの森の"僕"と同様。
こちらは過去でなく。
これからやってくる未来に激しく動揺していた。
("Norwegian Wood"は流れていなかったが)

あの日。空港を出たタクシーは。
アウトバーンをずんずん暗闇へ向かって走っていった。
暗闇を走っても走ってもまだ着かなかった。
いったい。ここはどこだ?
どこに来てしまったのだろう…(←超ションボリ)。

20代後半から30歳にかけて。
何回かこうやって鞄ひとつで海外に引越し。
その度に空港で死ぬほどの不安と戦ったけれど。
あのころはそれでも。
プータローであるがゆえに。
いやだったら。格好は悪いが…帰ればいい。
という逃げ道があった。

しかし。今回。
仕事という生活を守ってくれる砦を得たがために。
砦と共に『足かせ』もできてしまった。
もう。勝手には帰れない…。
この『足かせ』がズシ〜ンときた。

そして。
あの暗闇のタクシーの中で感じた不安は。
やはりそのまま的中した。

まず。あの世の洗礼。
2ヶ月半の洗濯物、手洗い地獄。
つたないドイツ語で必死に家を探し、契約し。
入居したら電気が通ってなかったり。
ロウソクも使ったっけ…。
布団がないのでヨガマットの上で寝たり。
ああ。洗濯機事件もあった…。
(参照: ドイツで鍛える生活 #11
インターネットを契約したら繋がらなかった。とか。
また。100年に1度か2度の極寒の冬にも見舞われ。
数ヶ月間。雪の上をマウンテンバイクで。
コケそうになりながら通勤し。
最終的には自転車も凍った…。
このトンチンカンな生活…。

このトンチンカンっぷりは。
ドイツ語が不自由だったり。
厳しい気候もまあ原因ではあるが。
何よりも。やはり。
社会がなんとなくしか廻っておらず。
土日。世の中が止まっていたりとか。
客より、自分といった調子で。
サービス業が全く機能していないことに。
起因している部分が大きい。

同僚なんかを見ていると思うのであるが。
この国では。仕事も。
言われたことをやらないといけない。
という感覚がないのだ。
ここでは。言われたことは。
『自分なりにやる』ものなのである。
この『自分なり』がドイツ中。
猛威をふるっているので。
サービスセンターでも。
面倒だから『できません』とか言ったり。
戦えばやっと動く。といった調子なのです。

つまり。日本の職場では。
やる事はやらないといけないので。
働く場でストレスを感じ。
ドイツでは。
やる事は自分なりにやればよいので。
そのしわ寄せとして生活の場でストレスを感じるわけです。
(戦い慣れているドイツ人は何とも思ってないかも…)
しかしまあ。
この中間の世界というのは作れぬものか…。

先日。
年末(休暇)の日本行きの航空券をネットで予約した。
しかし。ゲルマン流の仕事を知っている身としては。
今や。なーんにも信じられない状態。
あー。この旅行会社の人たち…。
ちゃんと航空券、発行できるだろうか。
と、やきもきする始末である。
これは。かなり異常事態だと思うのであるが…。
ま。この異次元では日常がそんなかんじ。

おっ。航空券の確認証がメールで来た!
おお。よくできましたー!ドイツ人!(バカにしてんのか笑)

やれやれ。
年末。日本に戻ったら。
1人だけ7年分、年取っているのかあ。
いやだなあ…。
1人だけ老けているの…。

0 件のコメント:

コメントを投稿