2010年10月21日木曜日

ドイツで鍛える生活 #39

**** 最終決断 (前編) ****

この街に私の生活はない。
プライベートが充実していなければ。
仕事にも情熱がもてない。
だから。
プライベートライフは仕事よりも。
優先されるべきものだと思う。
私は仕事より。
プライベートライフを取る。

契約更新インタビュー。
辞めると言った。

ボスは私に無期限の契約書を用意していたが。
(ヒェ〜ッ!60歳までいられんがなーっ!)
この言葉を聞いたボスは納得した。
彼はルーマニア人。
やはり。仕事のためにドイツに来た。
彼の奥さんは。
誰も知らないこの街で。
この閉ざされた私生活の虚無感に耐えきれず。
自国に戻った。
彼は単身赴任なのだ。
そう。彼にも私生活はない…。
しかし。彼は止めた。

君の言うことはよくわかる。
でもあと1年。
いや。半年。がんばろうよ。
その間に東京の仕事探せばいいじゃん!
明日。もう一回聞くから。ねっ!
と言って。最終決断だと言う私を遮り。
1時間の面接は終わった…。

あと半年か…。ムリだー。
この不毛な私生活をあと半年はできない!
仕事のためにはいられない。
私は金よりプライベートライフを取る。
いや。待て。でも。
日本に。まだ私の生活はあるのだろうか。
もうないのかも…。
でも。ドイツにもない…。
結局。私は。
あの世(リューベック)に渡ったけど。
あの世にも入りきれず。
でも現世(日本)にもおらず。
三途の川で溺れているんだ…。
(参照: この世とあの世,  あの世へ行く意味


「マユゲ!」と声がした。
別の部署の子に呼ばれ、付いて行くと。
チョコレート買ってあげる。と言って。
10セント(10円)のチョコレートを買ってくれた。
みんな。やさしい…。
チョコレート。嬉しいけど。でもこの子。
私があと数年で40歳って知っているのだろうか…。


さて。自分のオフィスに戻ると。
ン!?フランスからメール。
パリのデパートで知り合ったあの人。
私とカンヌで。
セックス、ドラッグ&ロックンロールしたい、
(↑勝手に決めている)
あの女性である(参照: ドイツで鍛える生活 #37

ねえ。南フランスで仕事しない?
知り合いが仕事斡旋業やっているから。
仕事用意できるわよ。
今日なんてカンヌは25度よーーっ!

『………  』
運命よ。私をもて遊ぶんじゃないっ!無視!

帰り道。
トボトボとあぜ道を歩くと、もう泣けた。
こんな道を45分歩く
ドイツは引き止めてくれるのに。
よくわからんが。
フランスにも仕事あるのに…。
(なんでだー!?)
日本よ。君は振り向いてくれないのかい?

あー。大空よ。日本よ。
私を見捨てないでくれーっ(←魂の叫び)。
あっ。もしかしたら。
日本があの世になりつつあるのかも…。
もー。悲しーいっ!
どこにも属していない…。

夜。ベルリンの友達とSkype。
「もー。なんで、こう止められたりさあ。
なーんも関係ないフランスからも横やりが入るわけー?」
「トラップだよ。マユゲちゃん。トラップ」
そっか。わかった。罠か。
チョコレートも罠か…。

心は決まっている。
トラップには引っかからんぞー。
そもそも。私は男気あふれるので。
決断を変えたことなんてない!
だって。言った事を撤回するって格好悪い…。

今。日本が『あの世』になりつつあっても。
私はまだ三途の川にいる。
まだ間に合う。
今、戻れば間に合う…。

**** 翌朝 ****
Final decisionを掲げ。いざ出陣!と。
意気込んでいつものバスに乗り込んだはずが。
あれ〜っ。景色が違う…。このバス違う…。
途中で飛び降りたり、走ったりと。
奇行を繰り広げつつ会社到着。

よーっし。午後になった。
もう後には引けない。
そろそろ言わないと…。
ちょっと。一応。友達にも聞いてみよっと。
日本にメールした。

ここから数時間。
もう仕事そっちのけで。
数十本のメールのやり取り。
私の人生を懸けたギャンブルを。
皆が真剣に考えた。そして。
不動だったはずの何かが動き。
舵が急に大きく切られたのであった…。
最終決断 - 後編 - へ続く)



2 件のコメント:

  1. おフランスでかわゆいものやコトに囲まれる生活ではないのか…。

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  2. ここでフランスを選択できたら、アーティストだな。憧れのアウトローだな…。「フランスで鍛える生活」か…。無理っ!ってことで凡人の選択をしました。

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